『相続登記の義務化』って? 2024年4月からスタート

所有者不明の土地がこれ以上増えないようにするため、2024(令和6)年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。もうすぐ開始する新制度について、福岡法務局 民事行政部長 石川亮さんに話を聞きました。

目次

出典:リビングふくおか・北九州Web

相続登記が申請義務化された背景

Q1 なぜ相続登記が申請義務化されるのですか。

簡単に今般の法律改正の背景事情等を説明しますと、不動産を持った方がお亡くなりになった際に、相続人となる方が行わなければならない手続の一つとして「相続登記」があるわけですが、これまで相続登記は義務化されておらず、また、費用がかかるということもあり、相続した土地や建物を売却するなどの必要がなければ、相続登記の手続をしない方が多くいらっしゃいました。

しかし、東日本大震災からの復興を進める場面を皮切りに、相続登記がされていない土地が多くあることで、現在の所有者の調査に多くの時間や費用がかかり、迅速な復旧・復興や公共事業の妨げになっていると指摘されるようになってきました。実際、九州でも、平成29年7月の九州北部豪雨で大きな被害が発生した朝倉市では、復興対象地域に含まれる土地の所有者が誰なのか判然とせず、災害の復興を進める上で大きな障害になりました。

国土交通省などの調査によると、2016(平成28)年時点における全国の土地の所有者不明率は20.3%、約410万haという九州本島(約367万ha)よりも広い面積に相当し、このまま対策を行わなければ、2040(令和22)年には北海道本島の面積(約780万ha)に匹敵する約720万haに達すると報告されています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

そのため、土地の所有者が不明なことから発生する問題(所有者不明土地問題)の対応策として、令和3年4月に民法や不動産登記法が改正され、令和6年4月1日から相続登記申請が義務化されることになったのです。

Q2 相続登記をしないと、どんなことが困りますか。

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