職場で「70歳」まで定年延長してもらえるのはありがたい!でも将来受け取れる「年金額」は減る!?

定年延長に賛成している人は多いが年金減額の心配もある

令和3年に高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの定年引き上げという努力義務が新設されました。

エン・ジャパン株式会社が実施したユーザーアンケートの集計結果によると、全体の83%が、定年延長に対して「賛成」と回答しています。

しかし、定年が延長された場合のデメリットとして「年金減額の可能性」と回答している人の割合が40%前後となっており、将来受け取れる年金額への影響が心配されています。

今回は、働きながら年金を受け取る2つの方法を例に挙げて、受け取れる年金額がどう変わるのかを見ていきましょう。

働きながら年金を受け取るにはどのような方法がある?

定年後も働きながら年金を受け取る方法としては、働きながら65歳から年金を受け取る方法と、定年を延長して働けるだけ働き、退職後に年金を繰下げ受給する方法の2種類があります。

通常通り働きながら65歳から年金を受け取る

年金受給開始年齢である65歳以降も働きながら、年金を受給することは可能です。

ただし、厚生年金に加入した状態で働き続ける場合は、老齢厚生年金と給与の合計が1ヶ月あたり48万円を超えた時点で、年金額の一部または全額が支給停止となります。

支給停止となるのは、48万円を超えた分の「2分の1の金額」です。
例えば老齢厚生年金と給与の合計が1ヶ月あたり64万円の場合、差額である16万円の2分の1である8万円が支給停止されます。

48万円を超えなければ、年金は全額受け取ることが可能です。

定年を延長して退職後に年金を繰下げ受給する

もう一つの方法が、定年を延長して働けるだけ働き、退職後に年金を繰り下げて受給するというものです。

年金は、繰り下げた期間によって増額されます。
そのため、65歳で受け取らずに、年金受給開始年齢を後ろ倒しにすることで、受け取れる金額を増やすことができます。

ただし、65歳以降に厚生年金に加入して働いていて、前述のように48万円を超えて支給停止とされる分については、増額の対象として計算されません。

調節しながら働けば年金は減額されない

定年延長の取り組みについては「安定した収入確保のためにありがたいこと」と感じている人は多いでしょう。

しかし、働く期間が長くなると、将来受け取れる年金が減ってしまう可能性もあるため、その点を心配する声もあると思います。

働きながら年金を受け取る方法には「働き続けながら65歳から受給する方法」と「働けるだけ働いた後、年金を繰下げ受給する方法」があります。

どちらも年金が減額になる可能性はありますが、年金受給額と給与の合計が48万円以下であれば減額対象にはならないため、調節しながら働くようにすれば、さほど心配することはないでしょう。

出典

厚生労働省 高年齢者雇用安定法 改正の概要 ~70歳までの就業機会の確保のために事業主が講ずべき措置(努力義務)等について~ 令和3年4月1日施行 I. 高年齢者雇用安定法について(1ページ)
[エン・ジャパン株式会社 第156回 アンケート集計結果 「定年延長」について
Q1.定年延長に賛成ですか?反対ですか?
Q3.定年が延長された際のデメリットは何だと思いますか?(複数回答可)](https://mid-tenshoku.com/enquete/report-156/)
[日本年金機構
働きながら年金を受給する方へ](https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/zairou.html)
年金の繰下げ受給

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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