【連載コラム】第50回:アストロズがアルトゥーベと5年1億2500万ドルで契約延長 通算3000安打達成なるか

写真:アストロズと5年契約を結んだアルトゥーベ ©Getty Images

日本時間2月7日、アストロズはホセ・アルトゥーベと2025年シーズンからの5年契約を結んだことを発表しました。契約総額は1億2500万ドルであることが報じられており、二塁手としては史上初めて生涯賃金が3億ドルを超えることになります。

ジム・クレイン・オーナーは「私がチームを買収した2011年にアルトゥーベもメジャーに上がってきた。こんなに長くチームにいるのは我々2人だけだ。アストロズの一員として引退してほしいと思っているし、今回の契約は大きいよ」と大喜び。契約満了時には39歳となっており、アルトゥーベが「生涯アストロズ」のフランチャイズ・プレーヤーとして引退するのは間違いないでしょう。

さて、アルトゥーベの今後のキャリアにおいて、個人的に気になるのが「通算3000安打を達成できるか」ということです。ここ10年の間に、アレックス・ロドリゲス(2015年)、イチロー(2016年)、エイドリアン・ベルトレイ(2017年)、アルバート・プホルス(2018年)、ミゲル・カブレラ(2022年)と次々に3000安打達成者が現れましたが、次の候補者であるアルトゥーベやフレディ・フリーマン(ドジャース)が達成するまで、少なくとも5年はかかりそうです。

アルトゥーベは今年5月に34歳の誕生日を迎えます。昨季までに通算2047安打を記録しており、これは現役5位の数字。アストロズとの契約はあと6年残っており、単純計算で1シーズンあたり159安打を積み重ねていけば、契約最終年の2029年に39歳で3000安打の大台に到達することになります。昨季は故障で90試合しか出場できず、112安打にとどまりましたが、2021~22年には1シーズンあたり163安打を記録しており、このペースを維持できれば、3000安打を達成できます。

もう1人の有力候補であるフリーマンの場合はどうでしょうか。今年9月に35歳の誕生日を迎えるフリーマンは昨季までに通算2114安打を記録。これは現役2位の数字であり、1位のジョーイ・ボットー(2135安打)がすでに40歳であることを考えると、事実上3000安打に最も近い現役選手と言えるでしょう。ドジャースとの6年契約はあと4年。この4年間で3000安打を達成するためには1シーズンあたり222安打が必要であり、現実的な数字ではありませんが、40歳まで現役を続けると仮定すれば、1シーズンあたり148安打で大台に届きます。十分に可能性があると言えるでしょう。

今年7月に32歳の誕生日を迎えるマニー・マチャド(パドレス)もいいペースで安打を積み重ねています。昨季を終えた時点で通算1737安打(現役9位)。パドレスとの11年契約は2033年まで残っており、残り10シーズンで1263安打を放つことができれば、大台到達となります。

マチャドの同僚であるザンダー・ボガーツにもチャンスがありそうです。マチャドと同い年で今年10月に32歳の誕生日を迎えるボガーツは昨季までに通算1580安打(現役16位)を記録。マチャド同様、11年契約があと10年残っているため、1シーズンあたり142安打で大台に届きます。

ほかには通算1624安打のマイク・トラウト(エンゼルス)、1513安打のブライス・ハーパー(フィリーズ)、1485安打のムーキー・ベッツ(ドジャース)らにも今後数年の活躍次第ではチャンスが出てくるかもしれません。ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)やフアン・ソト(ヤンキース)など、まだ1000安打にすら届いていない選手たちについて言及するのは時期尚早でしょうか。

史上34人目の達成者は誰になるのか。アルトゥーベにはそのチャンスが十分にありそうです。

文=MLB.jp 編集長 村田洋輔

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