【岩澤俊樹のゲーム1フレ勝負!】第43回:「鉄拳8」

声優の岩澤俊樹さんによる連載コラム「岩澤俊樹のゲーム1フレ勝負!」。第43回はバンダイナムコエンターテインメントから発売中の「鉄拳8」を取り上げます。

皆様こんにちは! 岩澤俊樹です! 遅ればせながら、明けましておめでとうございます!

今年の抱負といたしましては、前回の終わりに少し触れていましたが、今年は新たな事に挑戦していきたいと思っています。個人的にとても楽しみにしているので、そちらも見守っていただけたら嬉しいです!

詳細が決まりましたらこちらでもお知らせいたしますね!

さて、新年一発目にご紹介するのは、ゲームショウの時に予告していたこのタイトル!

■「鉄拳8」とは?

「鉄拳8」は、一新されたキャラクタービジュアルと高解像度のモデリングにより、総勢32名のキャラクターがかつてない臨場感のバトルを繰り広げる3D対戦格闘ゲームだ。

風間仁が三島一八という強大な敵に立ち向かう新たな展開をみせる物語や、1ラウンドに1回だけ発動可能な「ヒートシステム」の追加など、ゲーム面も大きくパワーアップ。強化されたステージの破壊ギミックや映像表現によって、よりアグレッシブで壮快なバトルが堪能できる。

また、自分自身の立ち回りや動作の特徴を学習し、「そのプレイヤーらしい動き」を再現するゴーストと対戦できる「スーパーゴーストバトル」モードが登場。プレイヤーが上達すればするほどゴーストの動きも進化していく。さらに、「TEKKEN FIGHT LOUNGE」などを通じて、他のプレイヤーのゴーストデータと対戦することも可能だ。

最近格闘ゲームの特集が多い気がしますが、それだけ沢山のタイトルが出ているという事。「ゲーム1フレ勝負!」のタイトルどおり、このコラムは格闘ゲームを応援しています(勿論他ジャンルも)。各メーカー様、本当にありがとうございます!

さて、わたくし岩澤と「鉄拳シリーズ」の出会いは前々回に少し触れましたが、その昔友人の家でプレイした「鉄拳3」。技やシステムなど全く理解していませんでしたが、それまでプレイしていた2Dタイトルとは全く違う操作感が新鮮で、ガチャガチャと動かしているだけで楽しかった記憶があります。

そこからアーケードやPS2の「鉄拳5」、PS3でオンライン対戦が出来る「鉄拳5 DARK RESURRECTION ONLINE」など夢中でプレイしたのはいい思い出。そんなこんなで「鉄拳シリーズ」にはお世話になってきた岩澤ですが、ずっっっと悩んでいることがあるんですよ…。それはズバリ…

「全然上手くなれない」

ということです(切実)。これは格ゲー声優(自称)としては由々しき事態。全く、という事ではないのですが、一定のレベルから全く成長出来ないのです。たしかに他2Dタイトルに比べるとやり込みが足りないというのは一つの原因としてあるのですが、それ以外にも独特の操作感やシステムに順応しきれていないというのがあると思います。

自分で言うのもなんですが、格闘ゲームのセンスや適応能力はほんんんんの少しだけ高めな方だと思っていますが(あくまで自称)、3Dタイトルには少し苦手意識を持っているかもしれません。

でも鉄拳独特の「気持ちよさ」は好きですし、「お気に入りのキャラクターを思い通りに動かして勝てるようになりたい」という願望はずっと持っています。

こんな自分の様な「やってみたいけど難しそう」、「やってみたけど上手く出来ない」という悩みをもったプレイヤーは沢山いるはず。

安心してください。最新作「鉄拳8」はそんな悩めるプレイヤー達に応えるべく物凄いシステムが搭載されています。

今回は、そんな「物凄いシステム」、そして「鉄拳永遠の初級者」わたくし岩澤はそのシステムを駆使してどこまで上手くなれるのか、挑戦していきたいと思います!(今回も例にもれず若干マニアック内容になることをご了承下さい(笑))

それでは早速プレイしていきましょう!

■まさにスペシャル!

最初にご紹介するのは「スペシャルスタイル」についてです。これについても前々回に軽く触れているのですが、もう少し詳しく。

「スペシャルスタイル」とはいわゆる簡易コマンドモード。ボタン一つで必殺技、連打することで簡単にコンボを繰り出すことが出来ます。

得意技、空中コンボ、下段&投げ、パワークラッシュ(相手の攻撃を受けつつ出せる反撃技)と、ボタンごとに主要技が振り分けられていて、誰でも簡単にバトルを楽しめるようになっています。

ゲームショウの時はまだ自分自身システムを理解しきれていなかったのですが、改めて触ってみて「非常に良く出来ている」というのが第一印象です。鉄拳ならではのテクニックやシステムはあれど、基本の読みあいや戦略は2Dと変わらず、「差し込み(攻撃を相手に当てに行く)」→「置き(相手が来るところ予測して攻撃を先出しする)」→「刺し返し(相手の空振りの後隙に反撃する)」の三すくみと、「攻撃」→「投げ」→「ガード」の三すくみ、そして立ち状態の相手には「投げ」や「下段攻撃」、しゃがんでいる相手には「中段攻撃」でガードを崩すというところは一緒です。

しかし、コマンド入力方法が少々異なり、3D格闘ゲームは2Dと違い複雑な方向キー操作が少ない代わりに、攻撃ボタンをリズムゲームのようにタイミングよく押すことで技を出すことが出来るのですが、格闘ゲーム初心者や、自分の様な主に2Dタイトルをメインに遊んでいるプレイヤーにはこれがちょっと難しく感じてしまうポイントです。そしてもう一つのお悩み。3Dタイトルは「技が多い」ことでも知られています(自分調べ)。新キャラ「麗奈」のコマンドリストを開いてみましょう…。

まだまだあります。

これでも全部ではありません。「こんなにいっぱいあるの!?」と思われるかもしれませんが、これはド派手な大技から所謂「アッパー」や「跳び蹴り」、「パンチの連打」等々、ほぼ全ての攻撃に技名がついているから多く見えているのです。だとしても、やっぱり多い(笑)。初めてプレイした人は戸惑うことでしょう。「一体どの技をどう使えばいいんだ…。」と。

「スペシャルスタイル」はこの2つの悩みを一気に解決。この技が使いやすい! この技でガードを崩そう! この技で相手の攻撃を受け止めよう! この技で浮かせて空中コンボ! というように「対戦に必要なもの」が詰まっています。

今回は詳細には触れませんが、ストーリーモード「The Dark Awakens」では様々なキャラを操作することになるのですが、「スペシャルスタイル」のみでクリアすることが出来るくらいちゃんと「対戦」することが出来ました。ちなみにこの「The Dark Awakens」のCPU、個人的にはなかなか手強かったです(難易度NORMAL)。

ここからはかなり個人的な見解ですし、賛否がわかれる話題ですし、かなりマニアックな内容なので温かく見守っていて欲しいのですが。

先ほど「非常に良く出来ている」と言いましたが、その理由は2つあります。一つ目は勿論「初心者でも手軽に対戦を楽しめるところ」。もう一つは「それがちょうどいいバランスにまとまっている」ところです。

昨今の格闘ゲームにはこういった「簡易コマンド」が搭載されることが多いです。個人的には大賛成ですし、現にそのおかげで盛り上がったタイトルもあります。格闘ゲーム人口が増えるのは何よりも喜ばしいことです。なのでこういったモードを作って頂いた各メーカー様には感謝しかありません。

しかしこの「簡易コマンドモード」はただ実装すればいいというものではありません。かなりバトルバランスの調整が難しくなるという問題を孕んでいるのです。

通常コマンドと簡易コマンドでは技が発生するまでの時間が全く違います。微々たる差かもしれませんが、格ゲーマー(←「60分の1秒の世界で生きている人達」と読みます)には死活問題なのです。

格闘ゲームでは攻めにおいても守りにおいても、基本的に相手の動きを予測する「読み合い」によって対戦が行われることが多いです。その「予測」を当てる確率を上げる為に様々な布石を打ちます。相手の攻撃や防御法を予測して、それが当たればその後の対応は簡単です。

そこで予想外なことが起きたときに「反射神経」で対応します。これが簡易コマンドモードだと一瞬で技が出せる為、反射神経で対応できる時間がかなり延びる事になります。

これは今まで超人的な反射神経を持った人の特権で、それが格闘ゲームの「上手さ」だったり「センス」に繋がる要素だったのですが、誰もが出来るようになると、「見ていて盛り上がるポイント」が一つ失われる事になりますし、ゲームバランスを大きく損なうことになります。

なので、昨今のタイトルは「それが前提のゲームバランス」にするか、「簡易コマンドに何かしらのハンディをつける」のどちらかになることが多いです。どのみち調整が大変になることは間違いないでしょう。

簡易コマンドが強すぎると、使っていない側が「どんなに頑張っても超反応で返されてしまう」→「ではこちらも簡易コマンドを使おう」→「お互い超反応で対応するので待つゲームになって対戦が窮屈に」という展開になりかねないですし、逆にあまり強くないと初心者が勝てないので本末転倒、ということになってしまいます。

こういったことがあるので、本当にバランス調整が大変だと思いますが、格闘ゲームの未来の為に頑張っていただきたいです(涙)。

と、簡易コマンドモードの未来を憂いて来ましたが、「スペシャルスタイル」はどうなのかというと、技の「使える数の制限」と「発生の速さの調整」によって簡易コマンドが必要以上に優位にならないような調整になっています。

発生の速さの重要性については先ほど語りましたが、まずそこがちゃんと調整されているのが素晴らしいですね。そして技数に関してですが、先述のように対戦を楽しむための技はしっかりそろってるので「初心者の導入にはもってこい、でも強すぎない」という絶妙なバランス。なので「鉄拳シリーズ」に不慣れな人は遠慮なく使っていきましょう。

そしてなんと「スペシャルスタイル」と通常コマンドの「アーケードスタイル」を対戦中にⅬ1ボタン(PS版)一つで切り替えることが出来るので、慣れてきたら普段は色々な技が使える「アーケードスタイル」で、苦手なコマンドや失敗したくないコンボなどは「スペシャルスタイル」で、というような自分なりの使い方を見つけるのも面白いかもしれません。

僕はいつか「スペシャルスタイル」のみで最高段位までいく猛者が現れるのを楽しみにしています!

■最新鋭

「鉄拳8」に搭載されている物凄いシステムその2。「MY REPLAY&TIPS」。全ての勝負事において言えることですが、強くなるためには自分の試合を見返して反省するのはとても大事なことです。

昨今、格闘ゲームにも自分の対戦を見返せるREPLAY機能がついているのが当たり前になっていますが、「鉄拳8」のREPLAYモードにはすごい機能がついているのです。

それが「TIPS」と「反撃練習」。格闘ゲームにおいて、攻撃をガードした後に反撃を決めるのは必須テクニックです。でも、そのガードした攻撃にどれくらい後隙があるのか、そもそもその攻撃がいつ終わるのか、技によってはガードではなく、しゃがんで躱すことで反撃を決められるものもあります。しっかり反撃を決めないとダメージを奪うチャンスを逃し続けるだけでなく、相手は技を出し放題のいわゆる「ぼったくり」状態になってしまいます。

「そんなこと言われても、あんなにいっぱい技あるのに覚えられないよ!」と思われるかもしれません。僕もそう思います(笑)。そもそも全部の技を把握する必要はありません(出来たら強いですが)。とりあえずは相手がメインで使ってくる技を覚えれば十分です。

「どのキャラクターがどの技をメインで使ってくるかわからないよ!」という声が聞こえて来ましたが、簡単に調べる方法があります。実際に対戦すればいいのです!対戦相手は確実に強い技を使ってきますから。REPLAYは自動で保存されるので、対策がわからない技に遭遇したら

見たい対戦を再生して、知りたい情報を「一時停止して表示する」を選択

このように、反撃できなかった攻撃の反撃方法や、反撃におススメの技を教えてくれるのです! なんとそれだけではありません。□ボタン(PS版)を押すと反撃方法のデモを再生出来て、×ボタン(PS版)を押せばその場で実際に練習出来るのです!

すげえ…凄すぎる…。ついに格闘ゲームもここまで来たかって感じです。全格ゲーマーが待ち望んでいた機能に違いありません(自分調べ)。これを繰り返せば確実に強くなれるので、どんどん活用していきましょう!

そしてまだあるんですよ…物凄いシステム…その3。「ゴースト」。格闘ゲームの対戦相手といえば、普段はCPU、オンラインで当たるプレイヤー、ゲームセンターや家庭用で遊ぶ友人や格ゲー仲間、といったところですよね?

ですがこの「鉄拳8」では「ゴースト」と戦うことが出来るんですよ。レースゲーム等では昔からあるシステムで、タイムアタックなどで自分が走った通りに生成されたゴーストと一緒に走り、それに勝つことでより良いタイムを出す。といった具合に活用されていました。

では「鉄拳8」のゴーストは…? なんとAIがプレイヤーの動きを学習しゴーストを生成。しかも対戦を重ねるごとにさらに学習し成長するのです!

すげえ…凄すぎる…(2回目)。なんかもう凄すぎてこの感情をどう表現したらいいのか(笑)。ゲームショウでこの情報を知った時は衝撃的すぎて理解が追いつきませんでした…。

ゴーストはオンラインやCPU戦の動きを3戦毎に学習して成長していきます。この育てた自分のゴーストと戦うこともできますし、他のプレーヤーのゴーストをダウンロードして戦うことも出来ちゃうんです!

フレンドとお互いのゴーストをダウンロードして戦わせても面白そうですし、強豪プレイヤーのゴーストと戦って修行するなんてことも出来ます。なんかもう「未来」ですよ。未来。いずれ一切対人戦をせず、ゴーストだけで修行し大会で優勝するプレイヤーが現れることを期待しています(笑)。

凄い機能満載の「鉄拳8」、個人的に気になった機能を紹介してきましたが、如何でしたでしょうか?この素晴らしい機能たちを活用し、新キャラ「麗奈」を使用してランクマッチに潜った結果、なんとか「修羅(12段)」までは辿り着けました。頑張ったよ偉いよ!(満身創痍)

やはり、「MY REPLAY&TIPS」で反撃方法などを学べたのが大きかったですね! これからも精進し続け、更に「上」を目指します!

他にも「風間仁」と「三島一八」の因縁を描いたストーリーを楽しめる「The Dark Awakens」や自分が主人公になってゲームセンターや大会の雰囲気が楽しめるストーリー「ARCADE QUEST」、

各キャラクター毎のストーリーが楽しめる「CHARACTER EPISODES」、鉄拳プレイヤーにはお馴染みの「TEKKEN BALL」など大ボリュームでやりごたえ満点です。個人的に「The Dark Awakens」はあまり鉄拳のストーリーに詳しくない自分でも新鮮で楽しめましたし、「あの名作映画」を髣髴とさせるシーンなど、映像美と迫力も凄かったです。

前作「鉄拳7」から約9年、最新技術を搭載し進化しまくった「鉄拳8」。今作から参戦する人も沢山いると思われます。始めようか悩んでいるそこのアナタ! 最近格闘ゲームにハマったそこのアナタ! 始めるなら「今」ですよ!(体験版もあるよ!)

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■岩澤俊樹さんプロフィール

アイムエンタープライズ所属
生月日:10月17日
趣味:ゲーム、音楽鑑賞、散歩
主な出演作品:【TVアニメ】ようこそ実力至上主義の教室へ(高円寺六助)、問題児たちが異世界から来るそうですよ?(ヴェーザー)、【吹き替え】謀りの後宮(李重俊)、【ゲーム】GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-(ダレル)、ファンタシースターオンライン2 es(ダンテ、セイメイキカミ)など。「GUILTY GEAR Xrd REV 2 -BATTLE MANIA-」でMCとしても活躍。

TEKKENTM8 & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.


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