『寿命が長いと言われる猫種』5選 それぞれの特徴や考えられる長寿の理由とは

1.ラグドール

ラグドールの平均寿命は15歳以上と長く、猫種の中でもかなり健康的に過ごせる猫種のひとつです。

ミャンマー原産のバーマンとイラン原産のペルシャを交配して作られた大型の長毛種です。

成長止まりが遅く、通常の猫は12ヵ月ほどで成猫になりますが、ラグドールは、1年目に急成長した後もゆっくりと成長を続け、成猫になるまでに最長で4年もかかる個体がいるほどです。

性格はおだやかで他種動物に対しても寛容です。ストレスをためこまない性格や、もともとほかの血統種と比べて病気のリスクが低いことが長寿の要因と考えられます。

2.日本猫(雑種)

日本で飼育されている猫でもっとも多い日本猫は、平均寿命が15歳以上とラグドールに続いて長生きです。

実際には、「日本猫」と呼ばれる純品種はなく、多くは元野良猫など血統が不明の猫同士の混血種が大半を占めています(ジャパニーズボブテイルは、アメリカでつくられた品種です)。

通常、純血種同士での交配では、病気に対する脆弱性を引き継いでしまいますが、日本猫(雑種)は、遺伝的な多様性を持つため病気に対する耐性が高いと考えられます。

特に野良猫など、自然交配から生き残った個体は適応力が高まるため、感染症や事故に気を付ければ長生きする条件がそろっています。

3.ペルシャ

イラン原産のペルシャ猫は、血統種の中でもっとも古く、その寿命は15歳を越えるといわれます。

ふわふわな長毛とずんぐりした体型は原種のころから引き継がれており、現在では30種以上の毛色がありますが、いずれも遺伝子の安定性が保たれています。

性格は、争いを好まず穏やかでのんびりしていますが、ベタベタと触られるのは好みません。

このような落ち着いた性格は、ストレスを溜めにくいため、長生きの要因となっているかもしれません。

ただし、ペルシャは毛量が多い長毛なため、毛球症にさせないためにも、毎日ブラッシングや熱中症予防の適切なケアも必要です。

4.アメリカンカール

アメリカンカールは、くるんと外側を向いた耳を持つ猫種です。歴史は、ほんの30年ほどしかありませんが、平均寿命は14歳前後と比較的長生きする子が多い猫種です。

元祖はカリフォルニア生まれの野良猫でした。迷い込んだ先の家庭で育てられ、のちに4匹の子猫を出産します。そのうちの2匹も外向きの耳を持っていたことから、交配がはじまりました。

突然変異による反り耳の固定化を進めるにあたり、遺伝的な異常を減らすために他種との交雑が認められているため、先天的な病気は少ない品種です。

一方で、猫コロナウイルス(FCoV)保有率の高い品種とされています。猫コロナウイルスは猫のお腹の中で突然変異すると、致死率の高い猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症するおそれがあります。

猫コロナウイルスの保有自体は珍しいものではありませんが、飼育の際にはあらかじめFCoV検査を受けるなど注意しておく必要があります。

5.アビシニアン/ソマリ

アビシニアンやソマリの平均寿命は14歳前後とされています。

ソマリは、アビシニアンから生まれた突然変異の長毛種です。当初はロングヘア・アビシニアンと呼ばれていましたが、時を経てソマリという名で血統登録されました。

この2つの猫種の系統は遺伝的に共有している部分が多く、遺伝的な疾患を持っている場合もありますが、強く健康的な遺伝子を引いた個体は長生きする傾向にあるため、交配によるところが大きいかもしれません。

特にアビシニアンは、シニアになるまで大きな病気になっていない個体は長寿になりやすく、なかには20歳を越える猫も少なくないようです。

まとめ

今回は、寿命が長いといわれる猫種について、種類別に解説しました。

猫たちの寿命は、遺伝的な要因や健康管理によっても左右されます。

かつては見た目の固定化だけを重視していた猫の繁殖も、最近は異なる種類を交配させるなど、遺伝的な異常を避けるための配慮が進んでいます。

その結果、特定の血統種であっても疾病に対する耐性のある混血が増え、ますます猫の寿命は延びています。

一方で猫の健康寿命は、栄養や医療、生活環境も大きく影響してきます。バランスの良い食事や病気の予防、ストレスの少ない生活などを整えることで、どの猫種に限らず、寿命を大きく伸ばすことができるでしょう。

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