富山城址公園、堀の擁壁崩落 藩政期の石垣亀裂

能登半島地震で被害があった富山城址公園。左側の擁壁が崩れた。奧の石垣の上部では亀裂が見つかった=富山市本丸

  ●4月のチンドン会場変更

 能登半島地震で、富山市の富山城址公園の堀の擁壁が崩落し、藩政期に築造された石垣の上部に亀裂が生じたことが7日、富山市などへの取材で分かった。芝生広場や通路の一部では地割れが生じ、観光バスが利用する駐車場出入り口では路面が損傷した。城址公園は各種催しの会場としても利用されてきたが、市は現状では安全な利用が困難と判断し、4月5~7日に開催する「全日本チンドンコンクール」の練り歩き会場を変更した。

 市によると、公園南側の擁壁が長さ約20メートルにわたって崩落し、周辺の土砂が堀に流れ込んだ。天守閣の西に位置する石垣の上部では、亀裂が見つかった。雨水が流れ込むと亀裂が拡大する恐れがあり、防水のため上にブルーシートを敷く応急処置を行った。石垣は公園内で唯一、耐震補強がされておらず、市は亀裂以外にも被害がないか調査するとしている。

 南側の堀を横断して公園内に入る「土橋(どばし)」では石畳に大きな隙間が生じ、通行禁止とした。芝生広場に近いトイレの建物は傾いており、周辺では地割れが多数確認された。園内の「松川広場」の地面でも多数のひび割れが見つかり、バス駐車場では出入り口部分の路面が崩れており、通行ができない状態だ。市は利用者が増える夏の行楽シーズンまでの復旧を目指す。

 市は芝生広場の一部で地割れが生じたことなどから、4月末まで城址公園のイベント利用は停止する予定。全日本チンドンコンクールの練り歩き会場は県庁前公園に変更した。

 このほか公園内では、1940(昭和15)年に建立された殉職警防團員(だんいん)之碑の頂上部が折れた。

 公園内の観光案内所や地下駐車場などは被害がなく、現在、通常営業を行っている。市は細かい亀裂などは順次修復している。芝生広場の会場利用に関しては「5月以降はイベントの規模などを考慮し、個別に会場使用の可否を検討する」(市担当者)としている。

上部で亀裂が見つかった石垣。ブルーシートで水の浸入を防いでいる

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