なぜ!?ウシを襲う黒い影…正体は「カラス」皮膚に穴を開け失血死させることも…牧場は「採食量も減りますので価値も下がる」

ウシを襲う黒い影、その正体はカラスです。時には皮膚に穴をあけ、失血死させることもあるといいます。
こういった被害を防ごうと、島根県出雲市の会社が画期的な商品を開発しました。
その名も「カラス撃退レーザー」、その実力はいかに。

牛舎にレーザー光線があてられると一斉に飛び立つ黒い影。
これ、全部カラスなんです。このカラスがウシを襲っているということです。

ここは、島根県奥出雲町にある中国牧場。
和牛をおよそ1500頭飼育しています。

記者 土江諒
「牛舎の中に来たが、ご覧ください。牛たちが緑色の猛烈な光で照らされています」

その様子は…さながらディスコ。防犯カメラのような機械が緑色のレーザーで牛舎をくまなく照らしています。

山陰パナソニック ソリューション営業グループ 渡部昭彦さん
Q:すごい光っているが、これは何ですか?
「こちらがカラス撃退レーザーです。大きい範囲に向かって、カラスに慣れさせないような工夫で照射をするという仕組み。」

先日、テレビ番組でも紹介された「カラス撃退レーザー」。
出雲市の山陰パナソニックなどが開発したもので、ウシには見えない緑色のレーザーをカラスが苦手な不規則な動きで照射し、牛舎への侵入をブロックするというものです。

山陰パナソニック ソリューション営業グループ 渡部昭彦さん
「一番視認性が高い緑色のレーザーっていうので実証実験をさせていただいて、その中でしっかりとカラスを撃退するっていうような効果が認められた」

こちらがその様子です。ひとたびレーザーを起動させると…牛舎にいたカラスは一斉に逃げていきます。

こちらの牧場では現在3台を導入していますが、以前はカラスの被害に頭を悩ませていました。

中国牧場 杠剛 牧場長
「ウシをつついて穴をあけたりしていたので採食量も減りますので、(ウシの)増大にもかかわってきますし、商品として価値も下がりますし」

専門家によれば、飼料などのエサを求め牛舎に侵入したカラスがウシの体につく虫などをつつくと血が流れます。血は、カラスにとって絶好の栄養源でこれを繰り返すことで、ウシの体に穴が開いてしまうというわけです。

被害は乳牛でも確認されていて、最悪の場合、失血死に至ることも。

そんな農家の困ったに立ち上がったのが、山陰パナソニックでした。

1年3か月の開発期間を経ておととし販売すると、防護ネットを貼るのに比べて設置費用が10分の1以下に抑えられることも支持され、今では全国に広がりました。

中国牧場 杠剛 牧場長
「カラスは頭がいいのですぐ慣れてしまって、効果はそんなにないと思ったんですけど、カラスが近寄らなくなったのは本当に効果があるなと思いました」

そして、このレーザー。秋から春にかけカラスなどの野鳥を介して流行する「鳥インフルエンザ」の対策にも一役買いそうです。

山陰パナソニック ソリューション営業グループ 渡部昭彦さん
「養鶏場さんの方でも鳥インフルエンザの感染だったりとかそういったお困り事もお聞きしておりますので、色々とこのレーザーの特性と合わせてご協力できるようなことがあれば」

そして、カラスはまもなく繁殖期。
攻撃性が高まる中でも家畜の動物たちの安全を守ってくれそうです。

© 株式会社山陰放送