「何が起きても不思議ではない」エンジェルスを巡る“売却騒動”米国で話題に「オーナーは秘密裏に進めている」「そんな話は聞いたことがない」

大谷翔平がいないシーズンを迎えるロサンゼルス・エンジェルスで大きな話題になっているのは、新加入選手でもなければ、ラインアップや先発ローテーション、ブルペンなどのチーム戦力の話でもない。球団の売却話だ。チーム専門メディア『Halo Hangout』が2月6日の記事で伝えた。

「オーナーのアート・モレノが組織の売却を秘密裏に進めているという憶測が、かなり流れている」

モレノは2022年8月に球団を売却すると公表。しかし23年1月に売却の中止を宣言し、現在もエンジェルスを保有している。それでも球団を手放すかもしれないという噂は後を絶たない。

同メディアは、先週のスポーツトーク番組『MLB Hot Stove Show』のホスト、ジム・メンロ氏が語ったコメントを引用して報じた。

「エンジェルスが組織の売却を静かに進めている。モレノはエンジェルスを売ろうとしているんだ。NBAダラス・マーベリックスの元マジョリティー・オーナー、マーク・キューバンのチームが買収の最前線にいると考えられている」

一方で球団の売却説を否定するコメントも出ている。2月上旬にポッドキャスト番組『Baseball Insiders』に出演したMLBジャーナリストのロバート・マレー氏が、「売却の噂に関して、そんな話は何も聞いていない。さまざまなメディアでそうした記事を見たことはあるし、多くの人からSNSなどで聞かれたが、私自身はそうした話を聞いたことがない」と語ったという。
一部では、「モレノが2024年のオフにエンジェルスを手放す可能性がある」とも言われている。そのためブレイク・スネルやコディ・ベリンジャーといった大物FAとの契約に乗り気ではないようで、また今オフの補強選手の多くが1年契約という点も、24年オフの売却説を裏付ける理由として挙げられている。

モレノは2003年オフに、球団を所有していたウォルト・ディズニー社から1億8400万ドル(当時約250億円)でエンジェルスを購入。「2002年のワールドシリーズを制した強さと、球界屈指の優秀なファームシステムを有するなど、すべてが完璧に近い状況だった」と同メディアが振り返るほどの実力を備えていた。

2000年代こそポストシーズンの常連だったが、2010年代に入るとプレーオフに進めなくなり、エンジェルスは14年を最後にポストシーズンに進出できなくなった。それはマイク・トラウトと大谷を擁していても同じだった。

「モレノがエンジェルスを売却するのかどうか、何の情報も発していない。しかしエンジェルスは水面下で秘密裏に行動することで知られている。つまり、何が起きても不思議ではないということだ」

経済誌『Forbes』によると、現在のエンジェルスの資産価値は22億ドル(約3259億円)にのぼるという。もしモレノがこのタイミングで売却すれば、非常に高い利益を得ることになる。エンジェルス売却の噂が根強く報じられているが、モレノはこの先も球団を保有し続けるのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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