中村静香インタビュー「着物でタップダンスって、すごくかっこいい」映画『レディ加賀』

By GetNavi web編集部

石川県・加賀温泉を盛り上げるために結成された旅館の女将たちによるプロモーションチーム「レディー・カガ」から着想を得た、女将たちの奮闘を描いた『レディ加賀』(2月9日(金)より全国公開)。小芝風花さん演じる主人公・由香と共に、女将修業に挑む元No.1キャバ嬢・麻衣を演じた中村静香さんが、見せ場となるタップダンスの苦労話など、体育会系の部活合宿ばりの撮影を振り返ってくれました。

中村静香●なかむら・しずか…1988年9月9日生まれ。京都府出身。2003年、「第9回全日本国民的美少女コンテスト」出場。その後、「法医学教室の事件ファイル」「緊急取調室」シリーズなど、さまざまなドラマに出演。女優としてのキャリアを重ねる一方、「カイモノラボ」(TBS)や「ゴッドタン」(テレビ東京)などの情報・バラエティ番組でも活躍している。X(旧Twitter)/Instagram

【中村静香さん撮り下ろし写真】

麻衣の生真面目さやひたむきなところに強く共感

──出演オファーが来たときの感想は?

中村 まず、台本を頂く前に、劇中にタップダンスのシーンがある映画だと聞いたんです。これまでやりたいと思ってもやる機会がなかったこともあって、「これはいい経験になる!」と、とても楽しみでした。それで、クランクイン数か月前から仕事の合間に、タップダンスの監修をしていただいたHideboHさんの教室に通うところから始まりました。

──その後、台本を読んで、中村さん演じる麻衣が女将修業に挑む元No.1キャバ嬢というキャラクターだということが分かったときは?

中村 本当に基礎からタップを始めて、劇中でどれぐらいのレベルを求められるのか、分からなかったので、着物姿でタップをすると分かったときは、さすがに不安になりました。麻衣は年齢的な理由もあって、第二の人生を歩むために女将修業に挑もうとしている子で、メッシュを入れたり、メイクが濃かったり、見た目の派手さはありますが、タップの練習には必ず顔を出すんですよね。そういう麻衣の生真面目さやひたむきなところに強く共感できました。

──クライマックスに描かれるダンスイベントでは、デッキブラシと和傘を使用した2パターンのダンスを披露されます。その練習はいかがでしたか?

中村 デッキブラシは意外と重さがあるので、振り回したときに、体が持っていかれないよう気を付けなきゃいけなかったです。でも、練習しているうちに、ちょっとずつ体力がついてきたのか、だんだん振り回されなくなりました。和傘でのダンスを練習するときは、風圧のことを考えて、ビニール傘に穴を空けたものを使っていました。それでも踊るときのテンポや傘を振り回すスピードがあまりに速いので、どんどん壊れてしまうんです。ほんまに難しくて、めちゃめちゃ苦戦しました。

撮休の日は、昼から日本酒飲み比べ3点セット

──主人公・由香を演じた小芝風花さんや、「女将ゼミナール」講師を演じた佐藤藍子さんとの共演はいかがでしたか?

中村 佐藤さんには以前からお世話になっていたので、今回久々にご一緒することができてうれしかったですね。以前と変わらず、とても気さくで優しい方で、大好きなんです。小芝さんとは初めての現場だったのですが、明るくて、チャキチャキしていて、活発なイメージどおりでしたね。彼女はプロのタップダンサーを目指していた役で、ソロパートもあったこともあり、とても大変だったと思いますが、キャスト全員壁がない子ばかりで、同じ宿に滞在しつつ、みんなで一致団結して、自主練をしたりしていました。だから、まるで体育会系の部活合宿みたいな空気感でした(笑)。

──グルメなど、加賀温泉郷ロケでの印象的な思い出は?

中村 長時間、タップシューズで踊っていると、肩や脚が痛くなってくるんですよ。だから、温泉に入ることで、それを癒して、また翌日の撮影に励むという日々でした。あと、ちょっと散策すると、無料の足湯スポットもあって、それにも癒されました。グルメに関しては、新鮮な海産物が有名で、特に身が分厚い、のどぐろのお寿司がおいしかったです。あとは、甘えびよりも甘味があるガスエビの石焼き。とてもカリカリして、香ばしくておいしかったです。

──となると、中村さんがお好きなお酒もかなり進まれましたか?

中村 もちろん、かなりいただきました(笑)。やはり日本酒がおいしいと言われていたので、海鮮を食べるときはもちろんですが、撮休の日にみんなが甘味処でデザート食べている横で、私は昼間から日本酒の飲み比べ3点セットと塩昆布をいただいていました(笑)。ちなみに、私が行ったお寿司屋さんの女将さんが、たまたま映画のモデルになった女将さんチーム「レディー・カガ」メンバーの方で、いろんなお話も聞かせていただきました。

──約200人のエキストラを集めたダンスイベントのシーンはいかがでした?

中村 みんなそれぞれが着物を着て、小道具を持って、うまく踊れるようになっても、本番では全員でタイミングを合わせなきゃいけないことが大変でした。和傘を回すスピードや肩にかけたり、突き出したりするときの角度やタイミングなどをそろえることがとても大切なので、それに注意しながらも足元は常にタップしているというのは、かなり集中力が必要でした。現場ではHideboHさんが実際にモニターを見ながら、細かく的確に指示を出してくださったので、とてもありがたかったです。

女将とはこれまた違う、平安時代の所作

──そんな努力の結晶で、完成した作品を見たときの感想は?

中村 とてもかっこよく見えるように、丁寧に撮ってくださったのもありがたかったのですが、出来上がったものを客観的に見たとき、「着物でタップダンスを踊ることって、すごくかっこいい」と、素直に思いました。大きく揺れ動く振り付けなので、見た目の迫力だけでなく、日本の美が強調された素敵な作品になったと思います。あと、キャバ嬢から女将と、場所やスタイルが変わっても、「おもてなしをする心構えは変わらないし、それは誰にも負けない」という麻衣のセリフは好きです。いろんなトラブルに巻き込まれながらも、みんなが一丸となって、前に進んでいく姿を見てもらえれば、自然と元気になってもらえるような気がします。

──和装繋がりだと、NHK大河ドラマ「光る君へ」では藤原頼忠の娘・藤原遵子を演じられています。

中村 同じ和装でも全然違うというか、着こむ枚数からして違うので(笑)。本当にずっしり重くて、カツラも重い中で姿勢をキープしながら平安時代の所作をするのは大変苦戦しました。戦のない時代の朝廷のお話なので、優雅でゆったりしているのですが、できるだけ着物から手足を出さないように。「レディ加賀」の女将さんの所作との大きな違いは歩き方です。平安時代は、どちらかというと摺り足ですから。

──中村さんが日頃、手放せないモノやアイテムについて教えてください。

中村 数年前に、メイクさんからプレゼントしていただいたオールステンレスの「三徳包丁」です。日本発の商品で、切れ味が落ちないとは聞いていたんですが、海外でも賞を獲っているぐらい本当に落ちないんですよ! しかも、洗いやすいし、デザインもシンプル。それで、ちょっとしたおつまみを作って、ビールやハイボールで晩酌しています。SNSのおつまみ動画でも活躍しているアイテムですが、最近作ってみておいしかったのは、ささみの大葉ロールでした。

レディ加賀

2月2日(金)より石川県先行公開中

2月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

【映画「レディ加賀」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:雑賀俊朗
脚本:渡辺典子
出演:小芝風花、松田るか、青木瞭、中村静香、八木アリサ、奈月セナ、小野木里奈、水島麻里奈、佐藤藍子、篠井英介、森崎ウィン、檀れい

(STORY)
加賀温泉にある老舗旅館「ひぐち」の一人娘・樋口由香(小芝風花)。幼い頃、タップダンスに魅了された由香は、タップダンサーを目指して上京したものの夢破れ、実家に戻って女将修行を開始。あまりの不器用さから大苦戦するなか、加賀温泉を盛り上げるためのプロジェクトが発足。幼なじみのあゆみ(松田るか)や元No.1キャバ嬢の麻衣(中村静香)ら、新米女将を集め、由香はタップダンスのイベントを計画しようとする。

公式HP https://ladykaga-movie.com/

(C)映画「レディ加賀」製作委員会

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/石岡悠希 スタイリスト/竹上奈実

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