上戸彩、子育て中の仕事選びは「無理だと思うものには、手を出さない」 周囲の支えに感謝

上戸彩 クランクイン! 写真:高野広美

12歳で芸能界入りを果たし、さまざまな映画やドラマでまぶしい存在感を発揮してきた上戸彩。映画『沈黙の艦隊』のその後を描くAmazon Originalドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』では、劇場版に続き、正しい報道を求めて奔走するニュースキャスター・市谷役を凛とした佇まいと共に演じている。今は3児の母として、子育てにも奮闘している上戸が、本シリーズを通して改めて噛み締めた、子どもたちに伝えたい平和への思い。3人の子育てと仕事を両立する上で大事にしていることまでを語った。

◆『沈黙の艦隊』劇場版の“その後”を描く連続ドラマ化に喜び

本作は、かわぐちかいじによる大ヒットコミックを大沢たかお主演で実写化した劇場版に、映画未公開シーンをふんだんに盛り込みながら“その後”のストーリーを描く全8話の完全版連続ドラマ。日本が極秘で開発を進めていた原子力潜水艦<シーバット>を乗っ取って、独立国<やまと>を宣言した海江田(大沢)が日本との同盟を結ぶべく東京湾へと向かう姿を描き、<やまと>、<アメリカ>、<日本>という3国それぞれの思惑が交錯する、手に汗握る交渉劇が繰り広げられる。

Amazonスタジオが日本から世界に向けて送り出すビッグプロジェクトとなり、上戸は「こんなに大きなプロジェクトに参加させていただき、宝くじが当たったような気分です」と大きな笑顔。彼女自身、劇場版の完成作を観た時にはそのスケールの大きさに驚いたという。

「吉野耕平監督は普段、すごく癒やし系の方なんです。それが映画を観てみたら、めちゃくちゃカッコいい、男らしい映像作品が完成していて! そのギャップに感動してずっと拍手をしていました。人間ドラマや映像、そして身体に響いてくる音楽もものすごい迫力」と熱弁。「今回、連続ドラマになったことで『沈黙の艦隊』の世界を自宅でも体感できるというのは、ものすごく贅沢なことだなと思います。また、何を考えているか分からなかった海江田の思いや、いろいろな人の絆も見えてくる」とドラマ版の魅力を口にする。

上戸が演じているのは、ニュースキャスター・市谷役。市谷は、政府が秘密裏に実行している計画に気づき、それを追求するために闘う信念の記者だ。「市谷は、視聴者の方の気持ちを代弁するような役」と分析した上戸。「市谷は、自身の思いも乗せながら、真実を伝えようとしています。市谷を演じてからは、ニュースの見方も変わったような気がします。報道番組は真実を伝えるものであってほしいと思うと同時に、あらゆる出来事も他人事ではないんだなと感じています」と話す。

◆第三子はまだ0歳 寝不足の時はどうする?

無謀とも思える反乱を起こす主人公の海江田の行動を通して、彼に巻き込まれていく周囲の人物だけでなく、観ているこちらにとっても、国際政治や世界平和について考えるきっかけとなるような作品だ。

上戸も本作を通して戦争や平和について思いを巡らせたそうで、「今、私には3人の子どもがいます。だからこそ戦地にいる子どもたちの映像を見たりすると、胸が張り裂けそうなくらい辛い」と切り出しつつ、「争いごとって、対立しているどちらにも、それぞれの信念や思いがあって、だからこそ終わらない。まず大切なのは、目の前にいる人を幸せにすること。それが世界中に広がっていったらいいなと思いますが、とても難しいものですよね」としみじみ。

日常の中で、子どもたちにはどのように平和の大切さを伝えていきたいと思っているだろうか。家族でニュースを見ていると、「子どもが、どうしても目の前に見えている映像だけで物事を判断してしまいそうになるところを、『ここにはこういう歴史があって、こういう人たちがいて、こういう争いごとが起きているんだよ』と説明することもある」という。上戸は「人それぞれに考え方や感じ方があるけれど、自分の目で見えたことだけで物事を判断せずに、いろいろな立場や考え方を知ってほしいなと思っています」と願いを込める。

母としての思いをあふれさせた上戸。10代、20代とがむしゃらに突き進み、結婚・出産後は働き方も変化した。2023年6月に第三子を出産し、「今は3人目の子がまだちゃんと寝てくれない時期なので、基本的に寝不足ですね」と苦笑い。「寝不足が響く年齢になってきたので、ちょっとしたことでいっぱいいっぱいになってしまいそうになったり、イライラしてしまうこともある」と素直に打ち明け、「そういう時は、宣言するんです。『ママ、今日はちゃんと寝てないからイライラしちゃうかも。気をつけてね!』って」と目尻を下げ、「『なんで怒っているんだろう。今日のママ、イライラしている』と思われる前に、自分から言う。正直に、理由を言葉で伝えます。原因が分かったほうがいいかなって」と正直なやり取りを心がけていると清々しく語る。

◆30代ラストイヤーへの抱負「家族みんなに助けてもらって前に進むことができる」

3人の子育てをしながら仕事をする上では、責任を持ってやり遂げたいからこそ「無理だと思うものには、手を出さない」という。上戸は「どういった仕事をお受けできるかは、運とタイミング。どうしても、すべてをお引き受けするわけではなくて。今は、生活や母親業を第一に置きながら、役者業をできたらなと思っています。私情を現場に持ち込むのは嫌なので、しっかりとできる状況だと判断した上で、お受けしたいなと。その上でぜひ私にと言っていただけるお仕事に出会えた際には、『ありがとうございます!よろしくお願いします!』とお受けしたい」と今の働き方について、打ち明ける。

そんな中、12回連続でMCを務めている漫才日本一決定戦『M-1グランプリ』は、「いつもタイミングよく、出産の時期とも被らず出演させていただくことができている」のだとか。「つわりの時期とは、これまで2回重なってしまっていて。CMになるたびに、バナナジュースを飲んでいました。いつも無事に終わるとホッとします!」とにっこり。

今年の9月には、39歳の誕生日を迎える。30代ラストイヤーは「とにかく健康に過ごしていきたい」と抱負を吐露する。上戸は「あとは、“誰かのため”に日々を暮らしていけたらうれしいです。自分にも力になれることを探したい。自分がやっていることが誰かのためになっているかもしれないと思うと、それは大きなエネルギーになります。子どもたちの笑顔ももちろん、力になりますね。ハードな日々だなと思う時もありますが、おじいちゃんやおばあちゃん、みんな大集合で、家族みんなに助けてもらって前に進むことができています」と感謝の気持ちを込めていた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

Amazon Originalドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』は、Prime Videoにて2月9日に1話~6話、2月16日に7話~8話が配信。

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