汚染水含む5.5トン、構内に漏えい 東電福島第1原発の浄化装置 最大220億ベクレル

鉄板の上に漏れ出た汚染水。東電は鉄板の隙間から土壌に水が染み込んだ可能性があるとしている(東電提供)

 東京電力は7日、福島第1原発の汚染水をためる高温焼却炉建屋で、汚染水を浄化する装置の洗浄中に建屋の排気口から汚染水を含む水が漏えいしたと発表した。東電は最大で220億ベクレルの放射性物質を含む約5.5トンの水が漏れ出たと推計。大半は構内の土壌などに染み込んだとみている。今後、漏れ出た水や周辺の土壌を回収するとともに、規則に基づき原子力規制委員会に報告する。

 東電によると、協力企業の作業員6人が7日午前8時30分ごろ、汚染水からセシウム137やストロンチウム90などを取り除く第2セシウム吸着装置(サリー)の配管の洗浄作業を始めた。同8時55分ごろ、装置内で発生する水素を排出する排気口から、建屋外への漏水が確認された。建屋周辺の地面に敷いた鉄板に約4メートル四方、深さ1ミリの水たまりできた。作業員に被ばくの影響はないという。

 配管につながる排気弁は自動で開閉する16カ所のうち、10カ所が開いた状態になっていた。東電は開いていた排気弁を通じて、配管に残っていた汚染水と洗浄に使った水が排気口から押し出されたとみている。

 この排気口からは2012(平成24)年11月にも汚染水の漏えい事故があった。東電は汚染水や土壌の回収を急ぐとともに、原因の調査や再発防止策に努めるとしている。

 昨年10月には多核種除去設備(ALPS)の配管洗浄中に放射性物質を含む廃液が飛散し、作業員4人の身体汚染が確認された。福島県原子力安全対策課の担当者は「放射性物質の取り扱いには細心の注意を払うのが当たり前だ。作業手順の洗い出しを含め、徹底した原因究明と再発防止を求める」としている。

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