ホンダが上方修正、円安や値上げ効果 北米好調で前年比6割増益

Nobuhiro Kubo Maki Shiraki

[東京 8日 ロイター] - ホンダは8日、2024年3月期の連結営業利益予想(国際会計基準)を1兆2500億円へ500億円上積みした。円安のほか、仕様変更に伴う車両の値上げなどが寄与する。前年度比では6割増となる見通しで、ハイブリッド車が好調な北米を中心に四輪車の販売が伸びている。

IBESによるアナリスト22人の予測平均値1兆2710億円には届かなかったが、1─3月期の為替を1ドル=140円で想定しており、140円台後半で推移する今の水準が続けば「アップサイド(上振れ)の要因」(川⼝正雄・経理財務統括部⻑)としている。

通期の為替レートは従来の1ドル=140円から142円に見直した。営業利益の従来予想を530億円押し上げる。値上げやコスト削減も400億円のプラス要因となる。四輪車の世界販売計画は従来の410万台を維持し、主力市場別の販売計画も据え置いた。

23年4─12月期の実績は営業利益が前年同期比46.7%増の1兆0763億円だった。エアバッグの不具合によるリコール費用など一過性の損失を計上したが、主に北米で四輪車の販売が増加したほか、排ガス浄化に使う貴金属の価格が低下、半導体の調達正常化で日本国内の生産が回復して利益を押し上げた。

一方、1─3月期は営業利益約1700億円と過去3・四半期のペースから減速するとみている。為替前提を1ドル=140円に置いていることや研究開発費が同四半期に偏ること、米国での賃上げなどが重しになるという。

電気自動車(EV)への急速な普及で苦戦する中国市場の販売台数は、4─12月期が前年同期比0.5%減の101万4000台だった。10─12月期に限ると同24.8%増加したが、「インセンティブ(販売奨励金)を使いながらの戦いを強いられている」(藤村英司・最高財務責任者)という。

中国の生産能力は120万台程度が適正だとみており、新たに建設するEV専用工場が立ち上がると170万台に増加することから、50万台ほど調整する必要があるという。藤村氏は「(現地の)パートナーともこの協議を始めている。課題感は互いに共有できている」と説明した。

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