「本末転倒」『セクシー田中さん』騒動で小学館の本 “不買運動” 勃発も作家・読者からいさめる声「苦しむのは作家さん」

『セクシー田中さん』の単行本(写真・共同通信)

2023年10月期放送のドラマ『セクシー田中さん』(日本テレビ系)の原作者・芦原妃名子さんが急死した一件は、いまだ収束の兆しを見せていない。

2月7日の「スポニチアネックス」では、小学館が6日に開いた社員説明会で、「今回の件に関する経緯を社外発信する予定はない」と説明したと報じられ、世間では厳しい声があがっている。

記事によると、芦原さんが生前、ドラマ制作過程に関する経緯をつづった投稿を削除したことをふまえ、「故人の遺志にそぐわない」と判断したという。現場の社員たちからは「腑に落ちない」「作家との関係に影響が出る恐れがある」と困惑が広がっているとも伝えられた。

報道が出ると、騒動を注視していた漫画家・読者勢から、批判的な意見が相次いだ。漫画家・車谷晴子氏は、《何も説明しないっていうのは、芦原先生を大好きな読者さんの「どうして」という悲しみをなにより踏みにじっているよ…。》と悲痛な思いをつづっている。

なかには、小学館の出版物に対する “不買運動” を宣言する声も寄せられた。

《買い物は消費者の意思表示をする選挙なので、私は日テレも見ないし小学館も買いません》

《小学館の本、もう買いません……。》

《作家さんに罪はないが、小学館の出版物二度と買わない》

だが、とくに漫画作品の場合、初動の売り上げが連載・出版継続の可否に直結する傾向がある。新人作家であればなおさらだろう。そのため、不買の動きには作家陣から「待った」がかかった。

漫画家・たむら純子氏は《小学館の不買運動とかそんなのあるの?絶対やめて!それで苦しむのは会社じゃなくて作家さんですよ!》と指摘している。

著述家・谷村恵美氏も、《それは違うよ、と思う。そのことによって苦しむのは、社ではなく、そこで作品を書いて発表し、生活をしている芦原妃名子先生と同じ作家さんたちだ。それでは本末転倒だ。》と呼びかけた。

作家陣だけでなく、読者からも注意する声があがっている。

《小学館の不買運動なんてやめなよ(中略)怒りの瞬間湯沸し器は作家さんを苦しめるよ》

《小学館だけが困るんなら兎も角、関係無い作家さん達も巻き込まれるのは問題ですな SNSを始め、メール等で抗議の声をあげるとかどうかな?》

小学館は作家・読者の不信感を払拭できるだろうか。

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