イトーヨーカドー福島、郡山、帯広で相次ぎ閉店 再来年までに33店舗閉鎖、流通アナリストの評価は

あなたの街からも「イトーヨーカドー」がなくなる?――福島県にあるイトーヨーカドー福島店は2024年5月6日、郡山店5月26日にそれぞれ閉店と、ウェブサイトで明らかにした。

イトーヨーカドーを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスは、1月11日に「2023年度 第3四半期 決算説明資料」を発表。2026年2月までに、全国でイトーヨーカドー33店舗を閉鎖するとしている。福島店、郡山店のほか、6月30日には北海道帯広店が閉店することが発表されている。閉店ラッシュが続くが、イトーヨーカドーの今後は。

カギとなる「首都圏へのフォーカス加速と追加閉鎖」

J-CASTニュースBiz編集部は、流通アナリストの中井彰人氏に取材した。上述の決算説明資料を読み解きつつ、予断は許さないものの「再生の可能性がある計画を立てている」と評した。

話によると、基本的には33店舗の削減計画が滞りなく進めば、「論理的には経営再建は可能」と語る。その理由に、決算説明資料に掲載されている「首都圏へのフォーカス加速と追加閉鎖」というフレーズを挙げた。比較的不採算店が少ないとみられる首都圏に注力することで、収益の改善が見込めるからだと指摘する。

閉店する郡山店だが、後継テナントとして同じグループで、総合スーパーではなく食品販売を事業の核とする「ヨークベニマル」の名前が報道で挙がっている点を中井氏は指摘。実現すれば、意味するところは、

「今後、イトーヨーカドーが首都圏に注力する一方で、福島県から南東北にかけてはヨークベニマルでスーパー事業を続けていくというセブン&アイとしての方針の表われではないか」

と推測した。

また、イトーヨーカドーには他のスーパーに比べて群を抜く強みがあるという。それはズバリ、立地だ。

「首都圏の店舗は、駅前の一等地に建っていることが多いので、この点は強い。都市部の住民は車で買い物に行かないので選択肢は少なく、客離れが起きづらいのです」

ネットで話題「津田沼店」の未来は

イトーヨーカドーをめぐって、1月、千葉県の津田沼店がX(ツイッター)で話題になった。7階フロアに「サイゼリヤ」以外のテナントが入っていないのではと、その寂れぶりが心配されたのだ。

中井氏は、この捉え方は必ずしも正しくないと指摘する。

「レストランではないテナントはサイゼリヤが入居している7階や、その上の8階には入っています。これは、『津田沼店はもうダメ』ということではなく、『高層階でレストラン』という営業形態が限界ということではないでしょうか」

最後に、中井氏は「SIP型店舗」という、これまでよりも小型の店舗をイトーヨーカドーが展開する点に言及した。この方式は「生鮮食品と日用品を同時に販売する形態の店舗」で、例えるならイトーヨーカドーと「セブン-イレブン」の中間と言えるものだという。この計画が現在、千葉県で進んでいるとのこと。新型店舗を成功させ、いったん撤退した地域に再進出を目論んでいる可能性はあると、同氏は推測した。

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)

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