日銀副総裁「緩和的な環境維持」 物価、経済情勢を考慮

奈良市で記者会見する日銀の内田真一副総裁=8日午後

 日銀の内田真一副総裁は8日、奈良市で記者会見し、今後の金融政策運営について、マイナス金利を解除した場合も現状の物価や経済情勢を考えれば急ピッチな利上げはせずに「緩和的な金融環境が維持される」と述べた。賃金の上昇を伴う形で物価上昇率を2%に安定させる目標の達成に関しては「確度が少しずつ高まっている」とした。

 日銀は大規模な金融緩和策を続けているが、物価目標の達成が見通せればマイナス金利解除を含む金融政策の正常化を開始する方針だ。市場では3月か4月の開始予想が多いが、内田氏は「さまざまなデータを確認する」と述べるにとどめた。

 目標達成を見極める上で、2024年春闘は重要な要素の一つだと指摘した。人手不足や企業収益の状況から「(高水準の賃上げに)期待が持てるし、本当に期待したい」と語った。

 記者会見に先立つ講演では、金融市場の混乱などを回避するため、正常化を始める前に政策修正の基本的な考え方を説明することが重要だと指摘した。

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