日産、4─12月期営業益65%増、通期の販売計画を下方修正

Maki Shiraki

[東京 8日 ロイター] - 日産自動車が8日発表した2023年4─12月期の連結決算は、営業利益が前年同期比65.1%増の4783億円だった。現地の電気自動車(EV)メーカーの存在感が増す中国を除いた地域での販売が伸び、値上げも寄与した。一方、北米の物流網逼迫(ひっぱく)などの影響もあり、通期の販売台数は従来計画を15万台下振れる見込み。通期販売計画の下方修正は今期2度目となる。

円安効果で業績予想は営業利益6200億円のまま維持した。IBESがまとめたアナリスト17人の予測平均値6157億円をやや上回った。今期の前提為替レートは1ドル144円(従来は140円)、1ユーロ156円(同153円)と円安方向へ見直した。

今期の世界販売計画は355万台へと従来の370万台から下方修正。主力市場すべて前回予想から減らした。中国は6000台減の79万4000台、日本は1万台減の51万台、北米は5万台減の132万台、欧州は3万台減の37万台とした。4─12月期の世界販売は前年同期比1.2%増の約244万台。中国は35%減だったが、中国以外の地域が伸びた。

スティーブン・マー最高財務責任者(CFO)は決算会見で、今期販売計画の下方修正について、第3・四半期に起きた「米国とメキシコ間の物流逼迫(ひっぱく)が主な理由」と説明。日本でも上期に発生した車両供給不足を第3・四半期に完全には挽回できず、能登半島地震による影響も調査中とした。

競争が激しい中国市場では「事業を維持したい。きちんとプレゼンスを確保するプレーヤーとしてやっていきたい」と述べた。米国ではハイブリッド車が好調な一方、EVの成長鈍化がみられるが、マー氏は「EVの拡大は一直線で上がるわけではなく、アップダウンがある」とし、「長期的には拡大する」との見方を示した。

さらに米国では、EVや気候変動対策に反対の姿勢をみせてきたトランプ元大統領の再選の可能性も取り沙汰されているが、政策などで「いかなる変化が市場環境で起きても備えるようにしている」と語った。

新規株式公開(IPO)を中止した仏ルノーのEV事業新会社への出資に関しては「協議中」とし、ルノーとは「良いパートナーシップを組んでおり、今のところ順調」であり、共同プロジェクトも「計画通り進捗している」と述べた。日産の新たな中期経営計画は3月中に発表する予定という。

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