【深田竜生×矢花黎インタビュー】ドラマ『マイストロベリーフィルム』撮影秘話<br />

©「マイストロベリーフィルム」製作委員会・MBS

人気急上昇中のネクストブレイク俳優がクアトロ主演を務めるドラマ『マイストロベリーフィルム』が、MBSドラマ枠「ドラマシャワー」にて2月15日より放送される(毎週木曜深夜放送)。

学校の倉庫で見つけた古い8㎜フィルムに映る美少女(田鍋梨々花)に一瞬にして目を奪われた光(矢花黎)。光とは友達だが、伝えられない特別な想いを抱える凌(深田竜生)。そんな二人を複雑な感情を持って見守る千花(吉田美月喜)。それぞれに秘めた想いを抱えた高校生たちを主人公にして描く青春群像劇だ。

同じ事務所の後輩・先輩という関係で、それぞれ少年忍者、7 MEN 侍のメンバーとしてアーティスト活動もする深田と矢花。同じ舞台作品に出演したことはあるものの、ドラマでは初共演となり、本作を通して徐々に距離を縮めていったという。

実は自分が演じたキャラクターよりも、相手が演じたキャラクターのほうが本来の自分に近かったと声を揃える二人。そんな深田と矢花に役との向き合い方や、現場でのエピソード、お互いに対して抱いた想いなどを話してもらった。

【深田竜生×矢花黎】ドラマ『マイストロベリーフィルム』場面写真

マネージャーさんより先に、バナさん(矢花)から話を聞きました(笑)

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――共演が決まったときはどう思いましたか。

深田:このドラマの話が決まる前は、(矢花とは)そんなに話したことがなかったんです。

矢花:会う機会があれば話すくらいの関係で。というのも、深田と会うときって、ほかにあと(深田が所属する“少年忍者”のメンバーが21人いるため)20人しゃべる人がいるんですよ(笑)。なので、自ずと話す時間が1/21になってしまって。

深田:だからこのドラマの話が動きだしてから、しゃべるようになりました。(深田、矢花が出演した)『ドリボ』(2023年9月上演の舞台『DREAM BOYS』)の期間中でしたよね。

矢花:僕だけ一足先に今回の話を聞いている状況だったんですけど、『ドリボ』に出演していた少年忍者のメンバーが(選抜だったため)少なかったから、しゃべる率が上がっていたので、「もしかしたら、一緒にドラマをやるみたいだから、決まったらよろしくね」みたいに話したんです。

深田:僕はマネージャーさんより先に、バナさん(矢花)から話を聞きました(笑)。確定ではなくて、もしかしたらみたいな感じでしたけど。

矢花:「話が来なかったら忘れて」と言って(笑)。

深田:それで、正式に出演が決まってからは、撮影が始まる前から一緒にご飯にも行って、だいぶ仲良しになりましたよね?

矢花:(笑)。撮影前に本読みとかのリハーサルの機会が数回あったので、その合間や、終わってからご飯に行きました。「今日、どうだった?」みたいに、反省会も兼ねて。だから現場に入るまでにかなり距離は縮まっていたと思います。

――撮影はいつ頃始まったのですか。

深田:(2023年の)11月中旬ぐらいから始まって、光の出演シーンが一番多いから、バナさんは毎日撮影していましたよね?

矢花:同じ時期に別の仕事も入っていたので、2、3日、入れないときがあって、その分、集中してスケジュールを組んでいただいたところもあります。

――今回はクアトロ主演となりますが、メンバーや周囲の反応はどうでしたか。

深田:(少年)忍者のみんなはびっくりしていました。情報解禁されたのが舞台『Act ONE』の期間中だったので、先輩方からは「おめでとう。観るね!」と声をかけてもらったりもしました。僕が、ドラマで全編通して出てくる役を演じるのが初めてだったので、みんなすごく喜んでくれました。

――矢花さんと共演することについては?

深田:それはみんな笑っていました(笑)。「マジ!? 楽しみだわ」みたいな。

矢花:(笑)。

――矢花さんの周りの反応はどうでしたか。

矢花:情報解禁でメンバーに改めて「俺も主演だよ」って伝えたら、「嘘つけ」って言われました。信じてもらえませんでした(笑)。

――放送が始まったら信じてもらえますよね(笑)。

矢花:(菅田)琳寧はもともとドラマを観るのが好きなのもあって「すごく楽しみにしてる」と言ってくれました。「バナさんの演技好きだから」って。

それから、琳寧と(中村)嶺亜は、僕らと同じ時期ぐらいにドラマ『先生さようなら』(日本テレビ系)を撮っていたこともあって、「こっちはこんな感じだったけど、バナさんもこんな感じ?」とかって、興味津々に聞いてきてくれたりもしました。

監督からは「困ったらお互いに聞けばいいんだよ」って言われて

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――自分が演じた役をどう捉えていましたか。

深田:凌は僕とは真逆というか。テンションも高くないし、感情の起伏も激しくないし、物静かで、クールで。だから演じるのは大変でした(苦笑)。クールに見せようとして声を低くしてみたりもしたんですけど、変にカッコつけているようになったり。凌自身はカッコつけてはいないので、そこは難しかったです。

矢花:光はとにかく明るくて、基本的に誰かに対して臆することがない。いい意味でも、悪い意味でも他人をあまり気にしないがゆえに、自分のペースがしっかりある人です。あとはスポーツ万能で、クラスの中でも中心的なポジションで、僕とは真逆でした。

深田:お互いに自分とは真逆のキャラクターでした。

矢花:学生時代、凌みたいに静かだったわけでもないんですけどね(苦笑)。ただ光と違って、僕はわりと周りの目を気にします。「今、この人はどう考えているんだろう?」とか、「どんなふうに言ったら語弊なく伝わるんだろうか?」とか、癖でそういうことをすぐに考えてしまうんです。それが光を演じていてもつい出てきてしまって。

深田:悩んでましたよね。「矢花黎が出ちゃう」って。

矢花:正直、すごく苦労しました。川崎監督から「もっとこうしたほうが光っぽいんじゃない?」と言われたときに、「なんでそうなるんだろう?」と考えると、(人の目を気にする)矢花がいるという(苦笑)。「あっ、また(自分が)出てしまった」と。

――相手が演じた役にはどんな印象を持っていましたか。

深田:光は、凌と比べると、普段の僕に近い感じがします。元気で、明るくて、ちょっとアホっぽいところがあって(笑)。いつもニコニコしていて、その場を明るくしてくれるような人だと思っていました。

矢花:凌は自然体でクール。僕も学生時代、あんなキャラクターでありたかった。「絶対にモテるじゃん」って人ですよね(笑)。けど、それをカッコつけてやっているわけではないから憎めない。ジェラシーですね。

――お二人とも、相手のキャラクターのほうに似ている部分があるのですね。

深田:最初の頃、よく言ってましたよね。「逆だよね」って。

矢花:特に凌の音楽を作ることが趣味という部分は自分と重なりますね。監督からは「困ったらお互いに聞けばいいんだよ」って言われて(笑)。

――実際に教えてもらったことはありますか。

深田:それこそ音楽面についてはいろいろと教えてもらいました。凌はパソコンが使えるんですけど、僕は使ったことがなかったので、「こうやったらカッコ良く見えるよ」みたいな触り方とか、細かく教えてくれました。

矢花:使ってないほうの左手が不自然な位置にあって(笑)。「普段から使っている人ならここに置くと思うよ」って。

深田:カッコいいやり方を教えてもらいました。

矢花:そういう言い方をすると、普段、俺がカッコいいを意識してパソコンを使ってるみたいに聞こえるから(笑)。

深田:カッコいいやり方を教えてもらいました!(笑)。

矢花:違う違う! 自然なやり方を教えただけ(笑)。

――矢花さんが深田さんを参考にしたところはありましたか。

矢花:さっきも言ったように、このドラマで共演をするまでは、深田竜生がどういう人間なのか、深いところまでは知らなかったんですけど、いろんな話をしていく中で徐々に知っていけたので、それが光のキャラクターにも影響すればいいなとは思っていました。

実際に光について悩んだときは、「この人だったらどうするんだろう?」と考えることもありました。目の前にモデルがいたので、すごく助けられました。

深田は、撮影現場でもいろんなスタッフさんとフランクに話をしていて、コミュニケーション能力があって、溶け込むのが上手いんです。まさしく、光もそういうタイプだと思っていたので、影ながら細かいところまで観察していました。

深田:知らなかった(笑)。

――深田さんは、共演してみて気づいた矢花さんの一面はありましたか。

深田:気づいたというか、仲良くなっても印象は変わらなかったです。「すごく優しいバナさん」という感じで、よりいい人だなと思いました。

矢花:無理して言わせてる?(笑)

深田:そんなことないです(笑)。先輩なんですけど、いい意味で先輩感がなくて、フランクなんです。だから、相談もしやすいし、ちょっとした弱音も言えて本当に助かりました。撮影中は気が張ることもありましたけど、そんなときにバナさんと話すと緊張が緩んだり、「これどうしますか?」って、相談に乗ってもらったり。

矢花:「一緒にやっててやりづらくないですか?」とかって聞いてくれたりもしましたけど、僕はやりづらいなんて思ったことはなかったし、「そんなこと気にしなくていいよ、気負わずにやればいいと思う」って話しました。

ドラマの話以外にも、「こういう仕事のとき、どうでした?」みたいな、事務所の先輩・後輩としての話もしたり。そうやって和めればいいなと思っていました。

深田:和ませてもらいました(笑)。

自分とは似ていない人に興味が沸く

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――演じる上で、凌は光のどんなところに惹かれたと思っていましたか。

深田:それについてはバナさんとも話したんですけど、僕的には、凌は自分からいくタイプではないので、光のほうから自分に興味を持って、話しかけてきてくれたことが大きかったんじゃないかと思いました。

凌は自分に自信がなくて、自分からグイグイいけないけど、そこに光がちゃんと気付いていてくれて、凌がほしい言葉をかけてくれたり、真っ直ぐに気持ちを伝えてくれたりする感じが、刺さったんじゃないかなって。そういう部分に人として惹かれていったんじゃないかと思います。

――自分とは正反対の光に惹かれる凌の気持ちは理解できましたか。

深田:めっちゃ共感できました。僕も自分とは似ていない人に興味が沸いて、好きになるので。そもそも人に興味があるので、自分と似ていないと「なんで? なんで?」って、より興味を刺激されるんだと思います。

――光はフィルムの少女という、現実にいるのか、いないのか、わからない人に一目ぼれしますが、その気持ちはどのように感じていましたか。

矢花:シチュエーションとしてはかなりまれなケースですよね(笑)。テレビを観ていて芸能人を好きになるとかならまだしも、実在しているかもわからない。けど、だからこそ興味をそそられる面はあると思っていました。

一目ぼれ的なことは、例えば、幼少期に「このヒーローカッコいい!」って憧れたり、深く知る前にビビッと来て興味が沸くみたいな気持ちは想像ができました。光は純粋にこの子に惹かれているんだということを意識しながら演じていました。

――矢花さん自身は、一目ぼれの経験はないですか。

矢花:自分で例にあげましたけど、僕は戦隊ものとかも通らずに育ってきたから。でも、小学校のときの初恋は一目ぼれでした。

深田:マジっすか?

矢花:(笑)。だから、当時の記憶も呼び起こして、どういう気持ちだったのかを考えたりもしました。どんな人とかは気にせず、とにかく直感だったんだろうなと。

きっと、学生時代にそういう経験がある人もたくさんいるだろうし、僕も、せっかくこういう役を演じさせてもらえるのだから、この気持ちも体験してみようと思ってやっていたました。

――そうすると、今は一目ぼれすることはないのですね。

矢花:でも、「この人、すごくカッコいいな」とか、深く知る前から気になるみたいなことはあるから……そう言われてみると、今でもある感覚ですね。だから(一目ぼれは)しますね(笑)。今、話をしていて気づきました。

“ボケ過多”でしたね(笑)

©「マイストロベリーフィルム」製作委員会・MBS

――現場の雰囲気はどうでしたか。

深田:(村崎美波役の田鍋梨々花、中村千花役の吉田美月喜を含めた)みんなでよく話をしていました。

矢花:ワイワイしていました。わりと天然揃いのメンバーというか(笑)。深田と田鍋さんが何かとんちんかんなことを言い始めて、それを吉田さんと僕が少し離れたところから「うん?」って思いながら見ているという。

ただ吉田さんもたまにボケ側に回ることがあるので、“ボケ過多”でしたね(笑)。かみ合っているのか、いないのかわからないような会話がずっと繰り広げられていました。

深田:バナさんがいなかったら、会話が成り立ってなかったと思います。バナさんが全部にツッコんでくれるから伝わるけど、いなかったら何もわからないままになっていたかと(笑)。

矢花:結構、ぶっ飛んでいる人が多かったので(笑)。

――主演ということで、現場に差し入れをするとかは?

深田:僕ら二人からお弁当を差し入れました。あと、僕は集中力が上がるということで、チョコを。

――予告編にもある凌が光のことを見つめながら頬に触れようとする場面は、印象に残るシーンの一つですね。

深田:そこで1つ面白いエピソードがあります(笑)。あのシーンは、光が寝てしまっているのを凌が見つけて、声をかけるんだけど起きないというところなんですけど、本番で僕が「光」って呼びかけたら、バナさんが「うん?」って返事をしてきて。

矢花:寝ていないといけないのに(苦笑)。

深田:台本とは全然違うアドリブを入れてきました(笑)。

矢花:違うんですよ。撮影がタイトだったこともあって、矢花と深田としているよりも、光と凌としている時間が長くなっていて。あと今回、セリフの前にアドリブを入れて、自然に会話を始めながら撮るというやり方をしていて、光がよくしゃべるキャラクターだったから、僕のアドリブで始まることが、1日に1回は必ずあるくらいのペースであったんですよ。

だから光の人格が日常生活にまで入り込んでいる状態で、今、自分が光なのか、矢花なのかがわからなくっていたところに、「光」って声をかけられたから、普通に返事をしてしまうという凡ミスをしました。本当に申し訳ない。

深田:めっちゃ面白かったです。

――単純に普段のお互いの関係性があるから、演じるのが恥ずかしかったとかはなかったですか。

矢花:光は凌から向けられている気持ちに対してすごく鈍感という設定で、撮影期間中僕自身にも光の性格がかなり影響していたので(笑)、特にそこは意識せずに普段の凌だなという感覚で、フラットに受け入れられていました。

誰が来ても受け入れてくれる

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――演じていて青春を感じるような場面はありましたか。

矢花:撮影場所が学校で、控室も教室みたいなところで、みんな制服を着ていることもあって、撮影をしていない時間も学校の休憩時間みたいな、そういう青春感はありました。

深田:現場にいるときは撮影以外でも役名で呼び合っていましたしね。

矢花:だから人格がおかしくなることに(笑)。ふとした受け答えが自分じゃないときがあって。

深田:僕もクールな役なので、普段よりテンションが上がらないみたいな。口角が上がらなかったです。

矢花:いや、そんなこともなかったけど(笑)。

深田:じゃあ、勘違いかも(笑)。

矢花:当社比ではそうだったのかもね(笑)。

――もしお二人がクラスメイトだったとしたら、どんな関係になっていたと思いますか。

矢花:それこそ深田は光みたいな立ち回りをしてくれそう。

深田:実際、学生時代はいろんなタイプの人と話してました。普段は一人でいるような人にもしゃべりかけたり。だから、もしクラスメイトだったとしたら、(矢花が)音楽をやっていることとか、僕から気になって話しかけてそうな気がします。

矢花:学生時代、(自分は)一人きりでクラスに居るようなタイプではなかったけど(笑)。ただ、人見知りはするので、最初のうちは凌みたいになっていたかもしれない。

僕は自分から行けないだけで、来てもらう分にはすごくありがたいと思うタイプなので、結果的に(深田とは)仲良くなったと思います。受け口はあるけど、送信口がないだけなので(笑)。

深田:確かに、受け口は本当にすごいです。誰が来ても受け入れてくれる。うちのメンバーに鈴木悠仁という、すごくグイグイ行く人がいるんですけど(笑)、普通だったら「もうわかった」って言いたくなるくらいグイグイ来るのに、バナさんはそれも受け入れてくれてますから。

――本作の見どころは?

深田:それぞれの想いが交わらない関係性なんですけど、誰かの気持ちには共感できるんじゃないかと思います。今、高校生の方も、卒業をして時間が経った方も、みなさんに楽しんでいただける作品になっていると思います。

矢花:実際に体験したことはなくても、体験したような気持ちになれる、若さゆえのもどかしい関係性みたいなものが描かれています。

光がフィルムの中の少女に恋をするところからストーリーが始まりますが、「その少女は何者なのか?」というミステリー要素もあって。少女の正体を追う中で、登場人物たちの関係性も変わっていくところがあるので、恋模様と合わせて楽しんでいただけるんじゃないかと思います。

――演じたキャラクターとしての見どころも教えてもらえますか。

深田:何ですかね……。

矢花:パソコン捌き?(笑)

深田:確かに、観てほしい(笑)。ちゃんと使ったのは初めてだったんですけど、その割にはカッコ良くできていると思うので、そこは注目してほしいです。

矢花:光は、たぶんどんなクラスにも一人はいたような、いなくても「いそうだよね」って思えるようなキャラクターで。人によってはうるさいと思うかもしれないけど、悪気はないし、純粋な人なので、そういうピュアな部分に触れて、観てくださる人の心も浄化できればいいなと思います。


実年齢では2歳差の矢花さんと深田さん。事務所の先輩・後輩という関係でもあり、インタビュー中は矢花さんが先輩らしくまとめる場面も見られました。一方、劇中では同級生で、明るくてお調子者の光と、クールで落ち着いた凌という、普段のお二人の雰囲気とは違ったキャラクターを見事に表現しています。ドラマでのお二人の関係性にも注目していただきたいです。

作品紹介

ドラマ『マイストロベリーフィルム』(全8話)
2024年2月15日より 毎週木曜 深夜1:29よりMBS、他にて放送
「TVer」「MBS動画イズム」で見逃し配信1週間あり

(Medery./ 瀧本 幸恵)

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