天皇陛下「水の問題」がライフワークゆえに…能登半島被災地で続く断水にご心痛

天皇陛下は1月15日に出席された警視庁の創立150周年を記念する式典で、能登半島地震の被災者へのお見舞いを、おことばの冒頭で述べられた /(C)JMPA

最大震度7を観測した能登半島地震。発生から約1カ月以上が経ったが、能登地方の広い範囲で断水が続き、被災した多くの住民を苦しめている。

「2月6日時点で、能登地方の約3万7700戸で断水が続いていました。石川県やそれぞれの自治体は、水道の復旧を急ピッチで進めていますが、2月中にすべての世帯で断水が解消する見込みはまだ立っていません。多くの場所で3月末までに仮復旧が見込まれているものの、珠洲市の一部地域では4月にずれ込んでしまうという見方もあります。

修繕する工事以前に、壊れた上下水道の配管の場所を調べる作業が広い範囲に及んでいるほか、雪が作業を妨げています。雪が積もると止水栓の場所がわからず、除雪を行う必要があるので、円滑な復旧作業が進まなくなっているのです」(地元紙記者)

元日に発生した地震によって生じた津波は、日本海に面した広い地域を襲った。さらに強い揺れのために各地で土砂崩れが起き、川がせき止められた「土砂ダム」、さらに被害を拡大する懸念も出ている。

「能登半島の十数カ所で、『土砂ダム』が確認されています。これは崩れた土砂が河川をせき止めたりすることで、大雨などで増水が生じた際に土石流を発生させる可能性を高めてしまうものです。排水路を設けるなどの工事が行われていますが、二次被害への不安が被災地に広がっているのです」(前出・地元紙記者)

地震に関連する“水”が原因の災害に、天皇陛下は深くご心痛だという。天皇陛下は長年“水の問題”をライフワークとされてきたゆえに、人々が生活用水に苦労する状況が続いていることに対して気にかけていらっしゃると、水問題で長年の交友がある陛下の知人は、次のように語る。

「天皇陛下は大学時代から水上交通をテーマに水にまつわる研究を始められていますが、現在陛下のご知見は地球環境や公衆衛生など多方面にわたり、国連の水と災害に関する国際会議でのご講演などでのご活動にもつながっておられます。根底にあるのは、1987年にネパールを訪問された際、水くみ場に列をなす女性や子供たちの姿に強烈な印象を抱かれたことがきっかけにあるそうです。

陛下はこれまでのご知見もあって、人間の暮らしにとっての水の大切さを深くご理解されています。能登半島地震の被災地で、生活用水にこと欠くような状況が続いていることに対しては、きっとご自身のことのように心配されていると思います」

2月5日、陛下は御所で廣木謙三・政策研究大学院大学教授からご進講を受けられた。廣木氏は、陛下の水についてのご活動で相談役を務めてきた研究者だ。

「陛下は、国内外の水に関するさまざまな動向について定期的に報告を受けられていて、5日は能登半島地震などについて、1時間半ほどご進講を受けられました。被災地の津波や土砂崩れの被害状況や、上下水道の復旧の進捗について熱心に話を聞かれていたそうです。また、被災者だけではなく、救援や復旧作業にあたる関係者も大変気遣われていたと聞きました」(皇室担当記者)

一日でも早く、被災した人々が水に困らない状況となり、生活が再建されることを天皇陛下は強く願われている。

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