バレンタイン事情異変あり? 女子たちの「チョコの祭典」から「甘党男子」待望の一大イベントに

2月14日は「バレンタインデー」。年に1回、女性が男性にチョコレートを贈り、愛を告白する日......というのは古すぎる発想か。

「2024 年シーズン『バレンタインチョコレート』価格調査」によると、今年のチョコ、昨年より約4%値上しているものの、お買い得だという。

イマドキ女子の「チョコ事情」を調査担当者に聞くと、なんとイマドキ男子の「チョコ事情」まで飛び出して......。

2024年、チョコ1粒当たりの平均価格は395円

百貨店「松屋」(東京・銀座)が2024年1月に発表した「2024年バレンタインデーに関する意識調査」(459人対象、複数回答可)によると、バレンタインチョコを買うという人は約92%に達している。

内訳は、「恋人・配偶者・パートナーなどの本命用」が約67%、「自分用」が約62%、「友人用」が約26%、そして「会社関係の義理チョコ」が約26%という結果だった。

そして、「バレンタインチョコは、節約を意識しない」という人が約73%に達しており、昨今の物価高とは裏腹に、かなり関心が高まっているようだ。

一方、今回の帝国データバンクの調査。全国の大手百貨店やショッピングモール、ホテルなどが販売する計150ブランドのバレンタイン向けチョコレートが対象だ。

1粒あたりの価格を分析するため、1粒バラ売りやアソートタイプ、詰め合わせなどを対象に、包装も含め1粒、1粒の値段に換算した。

その結果、2024年のチョコ1粒当たりの平均価格は395円(税込)だった。昨年(2023年)378円に比べて17円、4.5%の値上がりとなった。

このうち、国内ブランドは前年比17円、4.7%アップの377円、ハイブランド品が多いフランス産やベルギー産など海外ブランドは14円、3.5%アップの409円だった【図表1】。

大幅な価格引き上げが目立った昨年に比べ、2024年の値上げ幅は小さい。特に海外ブランドは国内ブランドに比べて小幅で、そのため国内と海外の平均価格の差が縮小している。

値上げの背景としては、主に原材料の調達コスト高騰が響いた。円安の影響に加え、カカオ豆の上昇、砂糖や乳製品、チョコを包むアルミ箔やセロハンなどの包装資材、輸送費が大幅に値上がりしたことが大きい【図表2】。

本命・義理・自分以外に「世話チョコ」「友チョコ」「家族チョコ」

J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんに話を聞いた。

――値上げ幅が前年比4.5%増と、昨年(2023年、6.2%増)よりは抑えられているのは、どういうわけですか。

飯島大介さん 昨年がちょっと高くなりすぎて、海外ブランドがあまり伸びずに、国内のショコラ系が多く売れたことの反省があるのではないでしょうか。ここ数年、傾向としては海外ブランドに流れがきていましたが、いったん、ストップがかかったかたちです。

その代わり、「この値段で、この味か。国内ブランドもけっこういいね」と見直されて、海外ブランドも含めて全体的に値上げを抑え気味にしています。

「隠れ値上げ」の動きも目立ちました。チョコ1粒あたりの価格を昨年より値上げした81ブランドのうち、中身の個数を、たとえば6個から5個へと減らしたりして、小幅の値上げに見せたブランドが19もありました。全体の約3割です。

そのため、海外ブランドと国内ブランドの価格差が、昨年の1粒あたり35円から32円へと3円縮小。海外ブランドの割安感が高まっています。

――「松屋」の調査によると、「本命チョコ」にかける予算が、昨年は3748円だったのが今年は4290円に増えている。その一方、「自分チョコ」にかける予算が、昨年は4415円だったのが、今年は3821円に減らして節約しているそうです。

ということは、今年の「バレンタイン女子」は、お金をかけた「本命チョコ」で彼氏ゲットを目指して気合が入っているようですね(笑)。

もっとも、その半面、今年の「本命チョコ」にかける予算の最高額は3万円(昨年より1万円増)ですが、「自分チョコ」にかける最高額は10万円(昨年より5万円増)となっています。

このあたり、やはり自分のほうがかわいいようで、そのあたりのギャップが理解できません。

飯島大介さん 最近は、バレンタインチョコレートの楽しみ方も多様化しています。「本命チョコ」「義理チョコ」以外に、かなり前から頑張っている自分へのご褒美とする「自分チョコ」が浸透。さらにいまでは、家族と楽しむ「家族チョコ」、友だちに贈る「友チョコ」、お世話になっている人に贈る「世話チョコ」などさまざまです。

こうした「〇〇チョコ」の数々は、ある意味、必ずしも「自分用」に買うのではない、ということでしょうか。

甘党呑兵衛男子が喜ぶ、ワイン・焼酎に合うチョコ

――なるほど。自分も含めて、いろいろな人に贈るのですね。

飯島大介さん 最近は、甘党の男性も増えていますから、バレンタインはチョコレート好きの男性にとっても、年に1回の大イベントになっています。女性だけの楽しみではなくなり、門戸が広がっているのです。

デパートやスーパーなどの専門売り場に世界のチョコレートが集合するのですから、甘党の男性にとってはたまりません。男性向けの売れ筋商品もありますよ。男性客も大勢訪れています。

――「バレンタイン男子」ですか。のんべえで辛党の70代男性の私にとって、ちょっと信じられない話です。

飯島大介さん 酒のサカナにチョコレートをつまむ男性が増えています。ワインや焼酎に合うチョコレートも開発されていますから、ぜひ、バレンタイン売り場に足を運んではいかがでしょうか。

――ズバリ、今年のバレンタインチョコレートのおススメはなんでしょうか。

飯島大介さん 比較的割安感が出てきた海外ブランドがおススメと言いたいところですが、微妙に個数を減らすなど「隠れ値上げ」がちょっと気になります。

今年ばかりは、あれか、これかと、どのチョコを食べると楽しいだろうかと、好きなブランドの値段を見ながら、おおいに悩んで選ぶことをおススメしたいと思います。

たっぷり悩んだ分、ジワ~とした甘さが口の中に広がるでしょう。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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