【市貝】戦争のむごさを若い世代に伝えたいと、町遺族会は6日、町内3小学校の6年生を対象に体験を語る講話事業を町民ホールで行った。約90人の児童が会員の遺族から戦中戦後のつらい体験を聴いた。
市塙(いちはな)、元教員永嶋静江(ながしましずえ)さん(89)は、警察官の父春男(はるお)さんを1945年にフィリピンで亡くした。春男さんは当時32歳だった。小学5年だった永嶋さんは日雇いで働く母ハツさん=2013年に98歳で他界=を支え、食うや食わずの中、2人の妹と4人で戦後を生き抜いた。
2月の夜に父戦死の報が届き、中学校では昼の弁当を持っていけずトイレに隠れたこと、苦学して宇都宮大を卒業して教師になり、初めての給料8100円をハツさんに渡せた喜びも語られた。永嶋さんのインタビュー映像の鑑賞も含め約1時間の学びとなった。
永嶋さんは「皆さんに私のような思いをさせたくない。いつまでも穏やかで平和な国であるように、皆さんの子や孫に語り継いでください」と語りかけた。
講話を聞いた市貝小の菊地涼夏(きくちすずか)さん(12)は「じかに体験者の話を聴けて、戦争は醜くてむごいと改めて感じさせられた。今も世界のどこかで戦争や紛争が続いている。これからも知識を得ていきたい」としっかりした口調で話した。
遺族会からほかに3人が参加し、当時の生活用具などを示しながら戦後を生きた体験を語っていた。