「真の『小学館』の声」「読む前から泣いてる」 「セクシー田中さん」原作者めぐる担当部署の声明にSNS感涙

ドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが急死したことをめぐり、2024年2月8日、同漫画を連載していた小学館の漫画雑誌「プチコミック」の公式サイトとXが「第一コミック局編集者一同」としてコメントを発表し、SNSで称賛の声が寄せられている。

芦原さんは生前、同漫画のドラマ化にあたり提示していた条件が守られなかったため2話分の脚本を手がけたとして、ブログで経緯を説明していた。スポーツ各紙が7日、小学館は「経緯などを社外発信する予定はない」としているなどと報じていた。

ドラマ制作側に「(芦原さんの)ご意向が伝わっていた状況は事実かと思います」

「プチコミック」編集部が8日に「作家の皆様 読者の皆様 関係者の皆様へ」と題して発表したコメントでは、「芦原妃名子先生の訃報に接し、私たち第一コミック局編集者一同は、深い悲しみと共に、強い悔恨の中にいます」と心境を表明。

さらに「当然守られてしかるべき原作者の権利を主張された芦原先生が非業の死を遂げられました」とし、「著者の意向が尊重されることは当たり前のことであり、断じて我が儘や鬱陶しい行為などではありません。守られるべき権利を守りたいと声を上げることに、勇気が必要な状況であってはならない。私たち編集者がついていながら、このようなことを感じさせたことが悔やまれてなりません」と明かしている。

続けて「二度と原作者がこのような思いをしないためにも、「著作者人格権」という著者が持つ絶対的な権利について周知徹底し、著者の意向は必ず尊重され、意見を言うことは当然のことであるという認識を拡げることこそが、再発防止において核となる部分だと考えています」とも述べた。

さらに「著者である芦原先生のご意向を、ドラマ制作サイドに対し小学館がきちんと伝えられていたのかという疑念が一部上がっておりますことも承知しております」として、「(「セクシー田中さん」7巻に掲載された)2023年8月31日付の芦原先生のコメントが、ドラマ放送開始日2023年10月22日よりも2か月近く前に書かれ、 そしてドラマ放送開始前に7巻が発売されているという時系列からも、ドラマ制作にあたってくださっていたスタッフの皆様にはご意向が伝わっていた状況は事実かと思います」と説明した。

「弊社からドラマ制作サイドに意向をお伝えし、 原作者である先生にご納得いただけるまで脚本を修正していただき、ご意向が反映された内容で放送されたものがドラマ版 『セクシー田中さん』です。そこには、ドラマのために先生が描き下ろしてくださった言葉が確かに存在しています」として、「ドラマを面白いと思って観て下さった視聴者や読者の皆様には、ぜひ安心してドラマ版『セクシー田中さん』も愛し続けていただきたいです」と呼びかけた。

文書の内容は「皆で熟慮を重ねて参りました」

「私たちが声を挙げるのが遅かったため、多くのご心配をおかけし申し訳ありませんでした。プチコミック編集部が芦原妃名子先生に寄り添い、 共にあったと信じてくださったこと、感謝に堪えません」と謝罪と感謝の言葉も掲載。

最後には「本メッセージを書くにあたり、 『これは誰かを傷つける結果にならないか』『今の私たちの立場で発信してはいけない言葉なのではないか』『私たちの気持ち表明にならぬよう』『感情的にならぬよう』『冷静な文章を......』と皆で熟慮を重ねて参りました。それでもどうしてもどうしても、私たちにも寂しいと言わせてください。寂しいです、先生」と吐露し、締めている。

これにSNSでは

「読む前から泣いてるんだけど...これは、"素敵な"編集者さんたちが作った文章ってことですよね?」
「これは、編集者一堂の心の声っすね...会社がどう出るかを超えた、決死の想いでしょ。真の『小学館』の声、コレですよ。波風立てたくない経営陣の気持ちもわからなくはないけど、流石に無理があった」
「やっぱり現場は同じ想いだよね。上層部の対応が問題なだけで、現場で働いてる方々の気持ちが表明されて泣けた。編集部の方々がこれの影響でさらに辛い立場にならないと願う」
「厳しい声もあるだろうけれど、個人的にはこれは本当に、外にいる人間には想像できないほどの覚悟と勇気で書かれた(発表された)文章だと思う」

など、感動の声やコメントを発表した編集者たちを称える声が相次いでいる。

【悩みを抱える人へ、厚生労働省が紹介している主な相談窓口】
・いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟) 0570-783-556(ナビダイヤル)/0120-783-556 (フリーダイヤル)
・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
・#いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク) 0120-061-338
・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 0120-279-338/(岩手県・宮城県・福島県から)0120-279-226
・チャイルドライン(特定非営利活動法人(NPO法人) チャイルドライン支援センター) 0120-99-7777 (フリーダイヤル)
・子供(こども)のSOSの相談窓口(そうだんまどぐち)(文部科学省) 0120-0-78310(フリーダイヤル)

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