【連載】インカレ直前特集 第1回 小池駿介×滝沢育矢

インカレ(全日本学生選手権)直前特集・第1回はクロスカントリー部門の小池駿介(スポ2=北海道富良野)と滝沢育矢(スポ2=新潟・十日町)。昨年インカレや世界大会を経験し、着実に力をつける2年生コンビにお話を伺った。

※この取材は10月18日に行われたものです。

「一緒にいることが多い」(小池)

昨年のインカレ、30キロクラシカルで前を追う小池

――お互いに紹介をお願いします

小池 滝沢育矢さんはランナー部門の2年生でスポーツ科学部に所属しています。新潟県津南町出身で、十日町高校のスキー部に所属していました。身長は193センチでスキー部の現役選手の中では最高身長です。彼のダイナミックな走りにぜひ期待してください。

滝沢 ランナー部門で同期の小池駿介です。出身は北海道の富良野市で、僕が駿介を知ったのは高校1年生の時です。まさかその時は同じ大学でスキーをするとは思っていなかったので、今は当たり前になっているんですけど、こうやって一緒に生活しているのはとても楽しいです。いつも支えてもらって、楽しい同期です。

――お2人は練習以外でも一緒にいることが多いですか

小池 そうですね、一緒にいることが多いですね。プライベートで常に一緒にいることはないんですけど、どうしてるのかなっていうのは僕は気にしてます。

滝沢 2年生になってコース選択で分かれてなかなか同じ授業がなくて、生活リズムとか時間がバラバラで一緒にどこか行くとかはないんですけど、最近は一緒にゲームをして結構一緒にいることが多いです?

――この夏1番の思い出はなんですか

小池 スキー部の同期で副務をやっている高良太郎(スポ2=群馬・前橋)が僕の地元に関東から来てくれました。普段話してて地元の魅力はなかなか伝えられなかったんですけど、スキー部の部員に地元を知ってもらうのがちょっと嬉しいなって思って、それが1番の思い出です。

――どこに行かれたんですか

小池 富良野市は観光スポットというスポットがそんなにないので、カレーが有名な店に行ったり、いろいろな場所に一緒に行ったりしました。

――滝沢さんはいかがですか

滝沢 僕の夏休みの思い出は9月に海外遠征でスウェーデンに練習しに行きました。監督とOBの方々と5人で行ったのですが、夏でもスキーができる場所に行ったのがすごく思い出に残っています。もうすぐシーズンが近いので、その前にスキーに乗れたというのもすごくいい経験になったし、いい練習もできました。すごくいい夏だったなと思います。

――初めて会ったのはいつか覚えていますか

小池 高1の高校選抜(全国高等学校選抜)。

滝沢 喋ったのは高校選抜か。高校1年生の時の高校選抜という大会で初めて会って、喋りました。

――その時の印象と今違うなと思う点はありますか

小池 滝沢君はもともと中学校から上位で活躍していて僕はなかなか活躍できなくて、という感じでした。僕自身滝沢育矢という名前をリザルトで見ていてこういう子かなと想像していました。もっと真面目なのかなと思ってたんですけど話してみると、いつもおもしろくジョークを言ってくれて、ダジャレとかも上手なので、僕はすごくナイスガイだなと思ってます。

滝沢 僕が初めて喋った時に1番印象に残っているのは真面目だなっていうのはすごく感じていて、自分が真面目じゃないというと違うんですけど、深く考えることはあまりしないタイプで、駿介は思考するタイプなのかなと初見で思いました。自分とは正反対の人なのかなと思ったんですけど、こうやって大学で一緒に生活する中で話も合うし仲良くしてくれるし、めちゃめちゃいい人でした。

――スキーを始めたきっかけを教えてください

小池 私は出身が北海道富良野市で、父親が富良野高校のスキー部の顧問をしていてその影響がとても大きくて、気づいたらスキーを始めていたというのが始まりです。スキーに乗った時の爽快感や下った時のスピード感とか、クロスカントリーは一朝一夕で技術が身につくものじゃなくて長期的に身につくものだと思うので、スキーができるようになるという楽しさを得られたのがきっかけかなと個人的には思ってます。

――何歳から始められたんですか

小池 小学校1年生の時に始めたんですけど、競技としてしっかり真剣に始めたのは中学生からで、週に何回か楽しくスキーに乗るという感じで小学生の間はやっていました。

――滝沢さんはいかがですか

滝沢 僕がスキーを始めたのは小学校3年生の時にスキーの授業でクロスカントリーがあったんですけどその時に全然滑れなくて、板を履いて動くこともできなくて、町のスポーツ少年団というか、クラブチームに入ってスキーうまくなろうというのがきっかけでした。そこからスキーが結構楽しくなってきて、今ここまできています。

――最初からクロスカントリースキー1本でやられていましたか

滝沢 保育園の時や小学校低学年の時は結構アルペンスキーとかもやっていました。親がアルペンスキーをちょっとやっていたのでアルペンスキー場に行っていましたが、クロカンを始めて今にいたります。

――ご自身の競技における強みはどこですか

小池 僕の自分の中で思っている強みは粘り強さと言うか後半まで落ちない滑りと、気持ちで走っている、レースに向けて気持ちを高めて当日自分の力を出すというのが得意です。後半まで落ちない滑りと気持ちで走れるところが強みかなと思っています。

滝沢 自分の強みとしてやっぱり身長が高いというのはこの競技において有利に働くことが多いのでそれと、スキーが楽しいとか好きっていう思い的な部分で自分を動かす原動力の1つになっています。その2つが大きいのかなと思います。

――昨シーズンの今と比べて調子はいかがですか

小池 昨シーズンは1年間通して新しく大学の環境に入って、なかなか自分のやりたいことができなかったというか、先輩についていくのもやっとで練習もどう進めていったらいいんだろうというのがなかなか分かりませんでした。スキーに対してもちろん気持ちを注いでいたんですけど、それ以上に他のこと、大学生活とかに気を取られてしまってモチベーションもうまく保てなくて、スキーの成績も出なくてという感じでした。今年は1年間シーズンの流れを知った上でトレーニングを積めているので、スキーの技術や動きの調子は良くなっているんじゃないかなと思っていて、インカレに向けて頑張りたいなと思っています。

滝沢 昨年は世界ジュニア(ジュニア世界選手権)を1つの目標にしてやっていたんですが、本番でトラブルがあり結果が残せなくてそこだけ見ると悔しいシーズンでした。国内のレースでは入賞でき、安定はしていませんでしたが1発いいところを取れてすごく収穫のあるシーズンだったと思います。今年の春は教職を履修している関係で授業がちょっと忙しくてなかなかうまく練習できませんでした。この夏、秋にかけてしっかり練習できたことで今すごく状態も上がってきているので、インカレと世界ジュニアで最後のチャンスが今年もあるので、その2月にある2つに向けて右肩上がりに上がっていけばいいかなと思っています。

――昨シーズンから今シーズンに活かしたい点はありますか

小池 クロスカントリーにはクラシカルとスケーティング(フリー)の2つの走法があり、昨シーズン自分の中でうまくいかなかったなというのが、スケーティングの方で乗り方や体重をかけるポジションなどのスキーを滑らせる上で重要な今までできていたところが、体重が増えたり、筋量が増えたりでなかなかかみ合わなかったので、そこが大きな問題でした。それを今改善しています。ローラースキーはアスファルトの上に乗っているのでスキーとはまた感覚が違い、その感覚の違いをアジャストしていくのが今後の課題だと思っています。

滝沢 昨年私もクラシカルはそこそこいい手応えがあって、結果が少し出ました。やっぱりスケーティングの方がクラシカルに比べるとうまくいかない部分が多くて、今年はスケーティングも走れるようにクラシカルはよりというのを目標にやってきています。スケーティングに結構力を入れて練習してきてそれも少しずつ形になってきている中で、雪上にもいい感覚で持っていけたらなと思います。昨年世界ジュニアという狙っているレースで失敗しちゃって狙っているビッグレースでうまく動けず、調整の仕方やメンタルなどそういう部分も課題として自分はあると思うので、しっかり自信を持って舞台に立てるような練習や体作り、メンタル面の管理を意識しています。そこが昨シーズンから得た収穫だと思います。

――今年の夏は何に重点を置いて練習していましたか

小池 私はどちらかというとスキーのフォームが上手な選手というよりは持久力やスタミナでカバーしているところが多いので、今年の夏とくに意識していたことは、いかにスピードの出る走りができるかというところを追求していました。ポジションが下がってしまうとなかなかスピードが出ないので、スピードが出るポジションに体をのせることや、ポールの使い方で力んでしまうとパワーを出すことが難しいので、どうやったら楽に大きく走れるかというのを考えながら夏は過ごしていました。

滝沢 僕はこの夏、自分の体をどう使ったら大きくダイナミックに滑れるか、自分の体をどうやって動かせばスピードが出るかというのを考えて練習していました。体が大きいというのはメリットでもありますがうまく使わないとマイナスの部分が多いので、感覚を大事にして練習していました。そこがずれてしまうと見た目もそうですしスピードも全然出なくて、ちょっとのずれがスピード感のない滑りになってしまいます。そういうところを安定して滑れるように意識して練習していました。

「やっぱりスキーって難しい」(滝沢)

昨年のインカレ、30キロクラシカルで力強い走りを見せる滝沢

――お2人から見てスキー部はどんなチームですか

小池 私から見てスキー部はすごく明るいです。みんなモチベーション高くもっていて、キラキラしているイメージがあります。今まで高校生まではクロスカントリーは同じスキー部の中でも他の部門と関わることがなかったですが、大学に入ってみて知らない世界、アルペンスキーや今年の1年生にはフリースタイルといってモーグルやスノーボードなど僕が知らなかった選手も入ってきました。みんな目標は違いますがそれぞれの目標に向かって頑張ろうと思っているので、すごくキラキラしてるし一緒にいて頑張ろうと思えるのがスキー部のイメージ、良さだと思います。

滝沢 駿介も言ってたんですけど同じ種目の人もそうでない人もいるので、いろいろな面から刺激をもらえるというところや、寮で生活している中でスキー部の仲が深まる環境でみんな仲いいと思いますし、フレンドリーな方も多いので、すごくいいチームだなと思います。

――スキー部の練習でいちばんすごいなと思う方はどなたですか

小池 僕はここにいる滝沢君かなと思います。普段みんなと練習しているんですが、僕に比べたら国際経験やスキーでの目指している目標がすごく国際的というか、海外の選手を目標にしています。普段一緒に走っていても僕は早稲田のメンバーとどう走るかとか、日本で戦うためにはどうやって走ったらいいかと考えているんですけど、見てる世界がちょっと違うなと思います。一緒にやっていてこのままじゃいけないな、もっと高い目標をもってできたらいいなといつも思っています。

滝沢 やっぱりランナー部門の練習はすごくきついんですけど、種目ごとの特性も結構違います。ランナー部門は持久的な種目なので練習時間は他の部門に比べて多くなります。持久力が必要な種目でもパワーも必要なので筋力トレーニングも必要で難しいスポーツだと思います。そもそもクロカンをやっているランナー部門にいる人はみんなすごいなと思います。他の部門の練習も見る機会があるんですけど自分たちのやらないようなメニューを淡々とこなしている姿を見て、自分たちだと想像もできない重さを持ち上げたり、ジャンプのトレーニングを見てもどうやってやるんだろうというトレーニングをやったりしているのを見ると、やっぱりスキーって難しいんだなとすごく感じます。どの部門も頑張っていると僕は思います。

――学年が上がって競技面や生活面で変化したことはありますか

小池 競技面での違いは後輩が入ってきたのがいちばん大きいなと思っています。昨年はとりあえずついていくというか、オリンピックに出場した広瀬崚(令5卒=現T.A.C Ski Team)さんやOBの方がいらっしゃってそういう方についていくことだけを考えていればよかったんですけど、2年生の立場になって次に向けてというか上級生になるに向けてやっぱり引っ張らなきゃいけないしというところがいちばん大きいかなと思います。生活面だとスポ科の授業は1年生の間はいろいろなコースの勉強をするという形でしたが、今僕はスポーツビジネスコースをとっていて専門的に学ぶことで授業の系統や(一緒に授業を受ける)友達も変わって、そこが大きく変化したかなと個人的には思ってます。

滝沢 競技面では駿介と似てるんですけど1個学年が上がって下も入ってきて、今度は自分たちが引っ張っていく立場になっていくのが必要だなと思っています。大学で1年間過ごして流れも分かったので、練習にこういう意味があるんだなとか深く考えるようになったっていうのはある気がします。生活面は昨年は2人部屋で先輩と一緒でしたが、今年から1人部屋になってちょっと寂しいというか、1人だと自分と向き合う時間も長いとは思うんですけど、気を抜こうと思えばいくらでも抜けるというか、先輩からの刺激が少なくなったのでそういうところはちょっと難しいなと少し感じました。

――インカレでの早大の注目選手はどなたですか

小池 主将兼(クロスカントリー男子)チーフの橋本礼徳(スポ4=長野・飯山)さんです。4年生はインカレにかける思いやシーズンにかける思いがすごく強いなというのを普段の練習でも感じているので、先輩たちにいい思いを残してもらえるように僕たちがしっかり走っていきたいなと思っています。

滝沢 注目はランナー部門の後輩の神幸太朗(スポ1=北海道留萌)です。同じ部門なので練習も一緒にやるんですけど、彼は高校生の時からインターハイで優勝してきていて、自分はなかなかインターハイ(全国高等学校総合体育大会)で勝つことができなくて、隣の駿介も大舞台で勝ってる経験があるので、インカレという大舞台でも活躍してくれるんじゃないかなと思います。あとは昨年1年生でも戦えるなと思ったのがインカレだったので、幸太朗にも1年生だからとかじゃなくて上位を目指して一緒に頑張りたいなという気持ちがあるので、神幸太朗です。

――ご自身の注目ポイントはどこですか

小池 やっぱり気持ちは強く持っているので、最後まで諦めない走りじゃないですけど、粘りの走りを見てほしいです。

滝沢 僕は得意な10キロクラシカルと、リレーの2つに注目してほしいなと思います。リレーは出るか分からないですけど、自分は出たいな、出るつもりではいるのでチームに貢献して、昨年はメンバーに入ることができなくてサポートでちょっと悔しい姿を見て、来年(今年)は優勝したいなと思っているので、走るにしろ走らないにしろリレー優勝に向けて自分のできることをやっていきたいなと思います。10キロクラシカルは得意な種目なので入賞、上位進出を目指して頑張りたいなと思うので、その2つ、応援よろしくお願いします。

――インカレの具体的な目標をお願いします

小池 昨年のインカレはなかなか調子が上がらず、クラシカルの30キロの方は結構狙っていたんですけど途中でポールが折れてしまって、自分の思ったレースができませんでした。今年はもちろん早稲田で日本の大学生トップを取るために練習を積んできているので、個人では優勝を目指していきたいですし、チーム、リレーではどういう形で出場するかサポートするか分からないですけど、大学ナンバーワンを決める大事な大会だと思うので、できることは絶対にやりたいなと思います。

滝沢 昨年は30キロ(クラシカル)で10位、ギリギリ入賞という風になってしまったので今年は出る種目は全部入賞したいですし、得点を稼げるように上位入賞、表彰台でもっといい得点が稼げるようにチームに貢献できる走りができたらなと思います。

――今シーズン狙っている大会や目標をお願いします

小池 昨年まではジュニア世代だったので世界ジュニア選手権に出場することができたのですが、今年は学年が上がって世界大会への出場がなかなか厳しい状況なので個人的にはインカレでのタイトルを目指しています。あとは僕は長距離が得意で、全日本選手権の50キロレースでの入賞を主に目標にしています。

滝沢 いちばんの目標は世界ジュニア選手権で入賞することです。駿介とは同級生なんですけど自分は早生まれ、2月生まれで参加権を持っています。ちょっとラッキーな部分が大きいので、そういう駿介の思いもじゃないですけど、昨年一緒に出て僕は途中棄権になってしまったし、駿介ももう少しだったので今年は自分が何とか頑張りたいなと思います。あとは国内のレースでどっちの種目(クラシカル、フリー)でも社会人のレースで入賞できればいいのかなと思います。あとはインカレで2月がメインのレースが多いので、そこに向けて頑張っていきたいと思います。

――最後に色紙に言葉を書くとしたらどんな言葉を書きますか

小池 ベタですが「感謝」かなと思います。本当に感謝ですね。インカレって感謝を伝えるじゃないですけど、4年生を気持ちよく送り出すためにというか、今までお世話になった分、やっぱり4年生のために走るところだと思っているので、私自身は本当に感謝を忘れたくないなと思っています。レースでも自分の成績を出すためには4年生に今までもらったパワーというのも必要だと思います。それに対して感謝を伝えられるように自分の滑りを徹底してやっていきたいなと思います。

滝沢 最近心掛けているのは「レースに勝とうとしなくていいけど、レースに負けないように」というのをすごく自分の中でモットーというか考えています。自分の気持ちが弱い時があって、レースで勝ちたいという思いだけ強くなって、本番うまく走れないということが高校生の時もそうだし、大学生でもありました。やっぱり勝ちたいという思いはすごく大事だと思うんですけど、そういうのが先走らないように「勝つ、勝つ」って考えすぎるよりもレースに負けないようにどうするかと考えることで、気持ちも楽になるかなと最近考えています。これは自分で考えたんじゃなくて、好きな小説を読んでいたら出てきていいなと思って、いつもそれを考えています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 堀内まさみ)

◆小池駿介(こいけ・しゅんすけ)

北海道富良野高出身。スポーツ科学部2年。ハマっていることは練習後に美酢を飲むこと。おすすめの飲み方はキンキンに冷えた炭酸水で美酢を濃いめに割ること。昨シーズンの経験から技術は上り調子。まだまだ進化を遂げる小池選手に期待が高まります!

◆滝沢育矢(たきざわ・いくや)

新潟・十日町出身。スポーツ科学部2年。ハマっているのはスマホの野球ゲーム。スキー部1の長身を誇る滝沢選手のダイナミックな滑りに注目です!

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