【竹橋】丸紅ギャラリー 企画展「ふしみ殿御あつらへ」小袖裂と復元小袖 -墨書と裂から分かる桃山時代の小袖制作-

桃山時代の復元小袖あでやかに「ふしみ殿御あつらへ(ふしみどのおんあつらえ)」小袖裂(こそでぎれ)

丸紅ギャラリーで開催中の企画展「ふしみ殿御あつらへ」小袖裂と復元小袖 -墨書と裂から分かる桃山時代の小袖制作-[2024年1月23日(火)~2月22日(木)]を見て来ました。

丸紅コレクションが所蔵する桃山時代の「ふしみ殿御あつらへ」小袖裂。そこに記された墨書の「ふしみ殿」とは…。

会場には、丸紅設立50周年記念事業として、1996年から1999年まで、3年余りの歳月をかけて「ふしみ殿御あつらへ」小袖裂をもとにした復元した小袖も展示されていました。

墨書と小袖裂から見えてくる、あでやかで彩り豊かな中世から近世までの染織の世界です。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は撮影禁止です。

出典:リビング東京Web

「ふしみ殿」は正室北政所 寧々?側室淀?《染分練緯地島取に柳模様小袖裂(「ふしみ殿御あつらへ」墨書)(そめわけねりぬきじしまどりにやなぎもようこそでぎれ)》の謎

桃山時代(ももやまじだい)の希少な《染分練緯地島取に柳模様小袖裂(「ふしみ殿御あつらへ」墨書)》

練緯地(ねりぬきじ)絞り染め(しぼりぞめ)によって紅色(べにいろ)と萌黄色(もえぎいろ)に染め分けられています。絞りと墨描絵の模様がおおらかです。

紅地は経年により色が薄くなっていますが、当時は復元小袖(ふくげんこそで)のような鮮やかな色彩だったと考えられています。

小袖裂の左上端にある「ふしみ殿御あつらへ」の墨書

当初「ふしみ殿御あつらへ」は、豊臣秀吉(とよとみひでよし)の側室淀(よど)が着用した小袖の一部と考えられていたそうです。

当時の呉服注文や制作から見ると、「ふしみ殿」とは伏見城本丸御殿に居住していた秀吉の正室北政所 寧々(きたのまんどころ ねね)と考えることも出来るそうです。

出典:リビング東京Web

復元!安土桃山時代の色鮮やかさ《紅萌黄練緯地片身替洲浜取草花模様小袖(べにもえぎねりぬきじかたみがわりすはまどりくさばなもようこそで)(天然染料)》復元作品

3年余りの歳月をかけて「ふしみ殿御あつらへ」小袖裂をもとに復元された《紅萌黄練緯地片身替洲浜取草花模様小袖(天然染料)》復元作品

小袖裂の模様は、雲取りの島を交互に配して、島ごとに花菱・松皮菱・襷(たすき)・菱を交互に入れています。島の間のに配されているのは柳と雪の模様だそうです。

室町時代から桃山時代に見られる「片身替わり(かたみがわり)」の左右の身頃(みごろの模様が違う、モダンで斬新なデザインです。

復元は、養蚕の糸づくりから、手織り、湯のし、下絵、糸入れ、絞り、染め、仕立てまでの工程を、天然の素材を用いて可能な限り桃山期の技法で行ったとか。

会場には、青花液下書きから、絞り、染めの工程を、小袖に仕立てられた復元作品ごとに展示。様々な段階を経ていることが分かります。(復元作品は合成染料)

出典:リビング東京Web
出典:リビング東京Web

江戸時代、上層階級の女性の小袖裂にも見られる墨書とは?

「ふしみ殿御あつらへ」小袖裂に記された墨書は、呉服(ごふく)発注者が「ふしみ殿」であることだけでなく、注文台帳や仕様書に具体的な仕様が記載されている事を暗示しているとか。

桃山時代の墨書「ふしみ殿御あつらへ」以外には確認されていないそうです。

江戸時代(えどじだい)上層階級の女性の小袖類や小袖裂には、同じような墨書が複数確認出来るそうです。

近世、江戸時代の太平の世になると、武家や裕福な町人階級の女性たちが小袖のお洒落を楽しむように。小袖の生産量も膨大になり生産体制も整ってきます。

墨書職人に、仕様書に従って正しく作業を行うために必要だったようです。

江戸時代の帷子裂(かたびらぎれ)左前身頃(ひだりまえみごろ)の一部に記載された墨書。注文主は上層階級の女性でしょうか。墨書から注文主や仕立てられた小袖がイメージされます。

出典:リビング東京Web

幻の染織「辻が花(つじがはな)」《白練緯地檜葉重ね団扇立浪模様小袖裂(しろねりぬきじひばかさねうちわたつなみもようこそでぎれ)》

室町時代(むろまちじだい)後期に発生したとされる辻が花(つじがはな)の技法安土桃山時代から江戸時代初めまで見られる様式だそうです。

《白練緯地檜葉重ね団扇立浪模様小袖裂》(手前)。

白と紺に染め分けられた練緯地に、縫い締め絞と描絵、刺繍で模様を表しています。

おおらかな絞り染めと繊細な墨絵の組み合わせで表された模様が、辻が花の小袖の1つの様式となっているそうです。

辻が花は江戸時代に入ると次第に姿を消して行き、幻の染織になりました。

出典:リビング東京Web

墨書と小袖裂を知れば、着物がもっと好きなる

丸紅ギャラリー企画展「ふしみ殿御あつらへ」小袖裂と復元小袖 -墨書と裂から分かる桃山時代の小袖制作-は2月22日(木)まで。

桃山時代の小袖裂から復元された紅色と萌黄色の色鮮やかな復元小袖や、辻が花おおらかで繊細な模様中世から近世の日本の美意識を見るような展覧会でした。

墨書の意味や目的が分かると、注文主やその時代の雰囲気が伝わって来ます。

着物がもっと好きになる展覧会です。是非お出かけください。

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、展覧会にちなんだポストカード 復元小袖(部分)(140円)、マグネット ふしみ殿御あつらへ(440円)、インデックスマグネットマーカー ふしみ殿御あつらへ(350円)を購入。

《紅萌黄練緯地片身替洲浜取草花模様小袖》をモチーフにした色鮮やかなミュージアムグッズです。※グッズは売り切れ次第、販売終了。

出典:リビング東京Web

イタリアン・レストラン VERTERRAZA

丸紅ギャラリーと同じフロアにあるイタリアン・レストラン VERTERRAZA。展覧会にちなんだメニュー、広島県産牡蠣のトマトソース バジルのピューレとペコリーノチーズの香り ~復元小袖をイメージして~(1‚680円)のパスタ、ちゃちゃ ~ライム&ストロベリー モクテル~(580円)をいただきました。

大粒な牡蠣とトマトソースの濃厚な味のパスタに、酸っぱさと爽やかなドリンクちゃちゃがよく合います。

営業時間:11:00~22:00(LO Food 21:00/Drink 21:30)

電話:03-6810-0350

定休日:土曜、日曜、祝日、年末年始

※ギャラリー開催時 土曜営業 11:00~17:00

出典:リビング東京Web

〇丸紅ギャラリー

URL:https://www.marubeni.com/gallery/

住所:東京都千代田区大手町一丁目4番2号 丸紅ビル3階

開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)

休館日:日曜日、祝日、年末年始、展示替期間

交通:地下鉄「竹橋駅」3b 出口より徒歩 2分(東京メトロ東西線)、地下鉄「大手町駅」C2b 出口より徒歩 6分(東京メトロ千代田線)、地下鉄「神保町駅」A9 出口より徒歩 7分(東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄新宿線・三田線)

※駐車場はございません。近隣の有料駐車場または、公共交通機関をご利用ください。

入館料:一般 500円

※高校生以下、障がい者とその介助者1名は無料

※着物・浴衣など、和装でのご来館の方は無料

※入館料は全額、社会福祉法人丸紅基金に寄付されます。

※支払時:現金利用不可。交通系IC、クレジットカード、QRコード決済などキャッシュレス決済のみ利用可能。

〇企画展「ふしみ殿御あつらへ」小袖裂と復元小袖 -墨書と裂から分かる桃山時代の小袖制作-

会期:2024年1月23日(火)~2月22日(木)

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