【ドジャースの軌跡】シリーズの流れを決めたメジャーリーグ史上に残る劇的な一撃

故障による主砲の戦線離脱で勝ち目のなかった頂上決戦だったが、満身創痍の主砲が放った一撃を機に7年ぶり6度目の世界一に輝いた1988年。シーズンMVPも受賞したカーク・ギブソンがシリーズ唯一の打席で、永遠に語り継がれる奇跡を起こした。

大学時代にアメフトと野球の2つの競技で活躍し、卒業時にはNFLからもドラフト指名を受けたカーク・ギブソン。結果的にはMLBを選択し、タイガースへと入団を果たした。メジャーデビューから6年目の1984年にチームは地区優勝を飾ると、リーグ優勝決定シリーズでギブソンはシリーズMVPに選ばれた。さらにパドレスとのワールドシリーズ第5戦では、のちに殿堂入りを果たした守護神のリッチ・ゴセージからダメ押しとなる3ラン本塁打も放つなどチームの世界一に貢献した。

1987年オフにFAとなり、ドジャースへと移籍する。1988年はシーズン終盤に足を痛めるも打率.290、25本塁打と活躍し、地区優勝に貢献した。リーグ優勝決定シリーズに入っても足の状態はなかなか回復しなかったが、第4戦の延長12回に決勝のソロアーチ、そして第5戦では3ラン本塁打を放つなど活躍し、ワールドシリーズ進出に貢献した。しかし、酷使を続けた身体は満身創痍となり、ワールドシリーズでは戦線離脱と伝えられていた。

ワールドシリーズの相手は、本塁打王のホセ・カンセコとマーク・マグワイアの「バッシュ・ブラザーズ」を擁し、シーズン104勝を挙げたアスレチックス。下馬評ではアスレチックスが圧倒的に有利のなか、ドジャー・スタジアムで第1戦が行われた。ギブソンはスタメンを外れ、試合はカンセコに満塁弾を浴びるなど4対3とリードされたドジャース9回裏の攻撃。二死1塁で投手に打席が回ると、トミー・ラソーダ監督は代打にギブソンを告げた。球場の興奮はマックスになったが、ギブソンはのちに殿堂入りを果たす守護神のデニス・エカーズリーの投球にファウルで粘るのがやっと。フルカウントとなった8球目、エカーズリーが得意のスライダーを低めに投げ込むと、ギブソンは右手1本ですくい上げ、打球はライトスタンドへと吸い込まれた。起死回生の一打となり、ギブソンは痛みをこらえながら二塁を周ると右手を引くガッツポーズ。この奇跡の一打で勢いに乗ったドジャースはシリーズを制した。

今季はどんなドラマが待っているのか。大谷翔平、山本由伸の2人の日本人選手の活躍はもちろん、エースのクレイトン・カーショウの再契約も決まり、最強の布陣が揃ったドジャース。4年ぶりの王者奪還へ向けた戦いは見逃せない。

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