コハクチョウ消えた 七尾・田鶴浜「野鳥公園」に異変

コハクチョウの群れが消えた七尾市田鶴浜野鳥公園

  ●暖冬で北帰行早まる? 地震で生息環境が変化?

 七尾西湾に面する七尾市田鶴浜野鳥公園で、2月に入り、コハクチョウの群れが確認できない状況が続いている。例年この時期は300羽以上が羽を休めることから「野鳥の楽園」として知られるが、今年は公園周辺の田畑にも姿がないまま。専門家は暖冬で北帰行の時期が早まった可能性や地震による生息環境の変化を指摘する。

 公園を40年以上管理する石川県希少生物研究会代表の時国公政さん(82)=同市大津町=によると、県内には例年10月中旬ごろからコハクチョウやマガンなどの渡り鳥が飛来する。餌を求めて移動を繰り返し、3月下旬までに北へ飛び立つ。

 田鶴浜野鳥公園では昨年10月23日にコハクチョウが今季初めて飛来。例年より1週間ほど早く、能登半島地震後も群れが越冬する様子が確認されていた。

 ただ、1月中旬ごろからコハクチョウが減り始め、2月に入ってからはほとんど姿が見られない状況に。カモ類やカモメ類も少なく、時国さんは「40年間管理してきて初めての経験」と話す。

 水鳥の飛来地として知られる片野鴨池(加賀市)でも例年より早くコハクチョウの群れが少なくなっている。市鴨池観察館には市民から「柴山潟周辺でも群れを探しにくい」との報告が入っている。

 鴨池観察館のレンジャーは「地震が影響しているかは分からない。温暖化で北に飛び立つ時期が早まった可能性はあり、原因は特定できない」とした。邑知潟(羽咋市)では地震後、飛び去ったコハクチョウの群れが戻ったが、愛鳥家からは餌場が変わったとの声もあり、時国さんは「大地震で環境が変わってしまったのかもしれない」と危惧している。

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