児童虐待の相談5年連続500件超 子どもの前で暴力「面前DV」目立つ 「違和感あれば通報を」 群馬県警

児童虐待の相談件数の推移

 群馬県警が2023年に受けた児童虐待に関する相談は前年比65件増の594件(確定値)で、3年ぶりに増加し、5年連続で500件以上を記録したことが、県警のまとめで分かった。県警から児童相談所に通告した子どもの数は、直近10年で最多の724人だった。18~19年に東京都目黒区と千葉県野田市で悲惨な虐待死事件が相次いでから社会の関心が高まり続けているとみて、「今後も泣き声を聞くなど違和感を持ったら積極的に通報してほしい」と呼びかけている。

 子供・女性安全対策課によると、18年までは100~200件台で推移した。二つの事件を受けて19年に2倍以上の638件に急増し、20年にピークの640件に達した。その後も21年573件、22年529件と高止まりしている。

 相談の内訳は、心理的虐待が41件増の342件で最も多く、子どもの前での夫婦げんかや配偶者暴力といった「面前DV」が目立つ。身体的虐待が33件増の163件、ネグレクト(育児放棄)が前年と同じ30件、性的虐待が5件増の12件。虐待ではないと確認されたケースは14件減の47件だった。

 児童虐待の疑いがあるとして、県警から児童相談所に通告した子どもの数は、直近10年で最多の724人。増加分の大半を占める面前DVは、その場にいた兄弟全員が被害者と数えられる特徴があるため、人数が伸びた可能性があるという。

 児童虐待事案で県警が摘発した保護者らは25人増の70人に上った。心理的虐待による摘発者はおらず、身体的虐待が63人、性的虐待が7人だった。相談件数と傾向が異なるのは、体の傷など捜査上の客観証拠の有無が一因とみられる。

 県警は昨年10月、児童虐待などの相談を受け付けている少年サポートセンターを県中央児童相談所内に移転し、関係機関との連携を強化した。担当者は「子どもの安全確保が第一。虐待がないことを確認できれば、結果的に通報が誤りでも問題ない。誰が通報したか当該家庭に伝えることもないので、遠慮せずに知らせてほしい」と話している。

© 株式会社上毛新聞社