安藤ハザマ/請求書を電子化する独自システム構築、電子化率約85%達成

安藤ハザマが業務効率化の一環として、協力会社や取引先からの請求書の電子化を順調に進めている。建設業界で標準的な電子商取引「CI-NET」を補完する独自サービスを展開。請求書の電子化率を2020年度の13・7%から23年12月末までに84・46%へと引き上げた。取り組みを主導する高橋耕一郎管理本部副本部長兼財務部長は「元請として協力業者の役に立ち、電子化の裾野を広げたい」と意気込む。
安藤ハザマは19年度半ばから、紙の請求書の全廃に向け電子化プロジェクトに取り組んでいる。CI-NETの利用拡大を原則とする一方、会社ごとの指定書式の違いや利用料などを理由に導入をためらう協力業者への対応が課題だった。
独自サービス「eQ-BILL」(エクビル)はCI-NETの契約外請求を対象に、インターネット経由で請求書を送受信するツール。IT企業Bank Invoiceと共同で構築した。原価管理や電子決裁を行う同社の基幹系システムと、既存サービスをカスタマイズした請求入力システムにより構成。同社からの工事物件案内を基に請求書を作成し、送信するまでを一貫してスムーズに行える。協力業者は無料で利用できる。
検索機能を強化するなど、操作性にこだわった。高橋副本部長は「請求書の差し戻しなど郵送に比べて請求処理がスピード化した」と電子化の利点を実感する。
エクビルの展開では、社内と協力業者へのアプローチを全社一丸で進める。23年度から部署横断のワーキンググループで週1回定例会を設け、電子化率と課題を共有。解説セミナーは社内外向けに計10回以上実施した。全国の支店にも担当者を配置して協力業者の導入を積極支援しており、各作業所を中心に加入を促す体制を整えている。
電子化率が伸び悩んだ際にはコンサルタント会社のプロジェクトカンパニーと連携し、勧誘方法の見直しや提案資料の刷新に取り組んだ。安藤ハザマDX推進グループの庄司雅彦グループ長は「協力業者の関心は高い」として「今後も電子請求導入の働き掛けを続け、電子化率の維持・向上に努めたい」と力を込めた。

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