花粉症には「ほうじ茶+煎り黒豆」!「ほうじ茶+α」で不調に合わせて自宅でかんたん漢方茶

今季一番の寒波が日本列島を襲い、新型コロナとインフルエンザのW流行が続いている。かと思うと、暖冬の影響か1月下旬から花粉症の症状を訴える人も。

「体がだるい、調子が悪いというときには『かんたん漢方茶』がおすすめです」

そう話すのは漢方茶専門店「カンポースタンド」店主の山崎かおるさん。

「漢方と聞くと『煎じたり煮だしたりして手間がかかりそう』や『苦い、渋い、まずそう』なイメージを持たれがちですが、かんたん漢方茶は普段のお茶に身近な食材を加えて作ります。とても簡単でおいしい健康茶です」(山崎さん、以下同)

ーー普段のお茶がベースになる?

「緑茶や紅茶、ほうじ茶などを使います。緑茶はカフェインが多く体を冷やす働きがありますが、発酵させて作る紅茶は体を温めてくれるのです。ほうじ茶はそれらのちょうど中間で、温めすぎず冷やしすぎませんから、入門編にピッタリ。ほうじ茶から漢方茶ライフを始めましょう」

ーーほうじ茶は茶葉を煮出す?

「煮出してもいいし、ふつうに急須でいれても大丈夫。さらに、ティーバッグやペットボトル飲料のほうじ茶をレンジ加熱してもOK。温かい状態で飲めれば、十分です」

ーーどうやって作るの?

「作り方の決まりはありません。加えるのがスパイスなら1~2振り、お茶と牛乳や豆乳を混ぜるものなら等量を合わせるのが目安でしょうか。それを味見して、お好みで味を調節してください」

ーーいつ飲めばいい?

「いつでもOKです。『普段はコーヒーだけど、今日は漢方茶にしようか』といったタイミングで飲んでみてください。ほうじ茶に含まれるカフェインは、ゼロではないものの、ほんの微量です。カフェインに特別敏感な人以外は、寝る前に飲んでも問題ないでしょう」

また、1日何杯までなどの制限もないそう。安心して、体調に合わせていろいろ入れたり混ぜたりして試してみて、好みの味を探してみよう。

「お茶や食材が持つ漢方的な意味に応じて組み合わせを考えると、その日の体調や症状別におすすめの漢方茶ができます。つらい症状を緩和する働きもありますので、ぜひ生活に取り入れてみてください」

今回は、冬の間に起こりがちな不調を改善・予防してくれる、山崎さんオススメのかんたん漢方茶を8種、紹介してもらった。

■正月太りには+シナモン

ごちそう三昧の年明けから1カ月たっても、寒さにかまけて外出をせず、正月太りが続行中という人が多いのでは……。

「代謝をよくして、デトックスを促しましょう。漢方では『活血』といって、血のめぐりを改善するために、シナモンを使います」

温かいほうじ茶にシナモンパウダーを1~2振り。甘みが欲しい人は黒糖を加えるか、シナモンの代わりにシナモンシュガーを使っても。

「シナモンの香りでスッキリした飲み口です。血行が滞りがちな冬におすすめの漢方茶です」

■胃腸には+梅干し

食べ過ぎは、見た目に関わる体重問題だけでなく、胃腸に与えるダメージも大きい。

消化を促進して胃腸の働きを改善しましょう。そのためには『酸味』が役立ちます」

酸味の代表的な食材は梅干しだという。温かいほうじ茶に梅干しを浮かべ、梅をくずしながらゆっくり飲もう。

「梅干しは塩分控えめなものを使ってください。酸っぱいものが苦手な人ははちみつを加えてもいいですし、酸味の強い梅干しではなく、はちみつ梅を使うのも一案です」

■食欲不振には+ターメリック

へとへとに疲れると、食欲が失せてしまうことも。

「『肝』の働きが落ちているのかもしれません。肝は自律神経の働きを担い、気のめぐりをよくする器官。ターメリックは『疏肝』といって、肝の働きを助けます」

ターメリックはウコンとも呼ばれ、カレーに使われるスパイスだ。

「カレーパウダーで代用してもOK。ホッとする香りで苦みもなく、飲みやすいアレンジですよ」

ターメリックは胆汁の分泌を促すことで消化を促進し、香りで食欲を盛り上げる効果も。

■冷えには+山椒

特に女性は、寒くなると冷え性がつらいという人が多いだろう。

「冷え性は血のめぐりが滞っている証拠です。血行を改善するには、体を温める効果のある『辛味』がおすすめです」

辛味は山椒がおすすめだそう。

「山椒を1~2振りしてから味見して。ピリ辛好きな人は多めに振ってもかまいません」

山椒が家にない場合は、ショウガでもいいという。

「ショウガはチューブのもので大丈夫です。ショウガ紅茶より飲みやすいという人もいますよ」

■インフルには+豆乳+ドライフルーツ

「インフルエンザなどの感染症には、乾燥が大敵です。『補血』といって、潤いを補い、のどや胃腸の乾燥を防ぐ漢方茶を飲んでみましょう」

作り方は、ほうじ茶と豆乳を200ミリリットルずつなど、等量入れて温め、そこにクコの実やレーズンなど、色の濃いドライフルーツを加える。

「ほうじ茶オレに似た漢方茶ですが、砂糖を加えなくてもドライフルーツのおかげで、ほんのり自然な甘みを感じます」

ドライフルーツはほかにも、ナツメやドライマンゴーでも代用できる。2~3粒浮かべてみよう。

■無気力には+オレンジ

せわしない年末年始を乗り越えた後、無気力の波に襲われている人はいないだろうか。

「気分が落ち込んだときは『理気』といって柑橘の酸味と香りが、たまった気を流してくれます」

レモンティに使う輪切りレモンのようにオレンジをスライスし、ほうじ茶に浮かせよう。気持ちをリフレッシュさせる効果があるという。

「甘みがほしい人はマーマレードを加えてもおいしいですよ」

■うつには+牛乳+ココア

新年早々大きな地震が起き、ニュースを目にするたびに心を痛めてしまう人もいるだろう。

「心の働きを整えて精神を穏やかにする『補心』には、ミルクココア味をお勧めします」

ほうじ茶と牛乳を等量で合わせ、ココアパウダーを小さじ1程度入れて温める。ココアは砂糖を含まないものでも、砂糖入りでも、お好みでどうぞ。

■花粉症には+炒り黒豆

今年は暖冬で花粉の飛散が早く、すでに花粉症の症状を感じる人もいる。対策を急ごう。

「胃腸の調子を整えて、免疫力を上げる『補陰』に努めましょう。おつまみコーナーなどで売られる『炒り黒豆』は黒豆を香ばしく炒ったものですが、これをさらに軽く炒ってからほうじ茶に浮かべてください。香り高くておいしい漢方茶が花粉症に効果的です」

炒り黒豆はアンチエイジングにも効果があるそう。中高年にはうれしいW効果だ。

症状別におすすめアレンジを8種類教えてもらったが、どれも簡単なものばかり。

「漢方茶には、自分なりのアレンジをどんどん加えてください。楽しみながら、健康になれると思います」

自分の体と心の声を聴きながら“マイ漢方茶”を作ってみよう。

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