『ONE PIECE』ゾロと剣豪・リューマの関係は? アニメ『MONSTERS』から浮かび上がる“王”になる未来

1月22日より、Amazon Prime VideoおよびNetflixで『MONSTERS 一百三情飛龍侍極(いっぴゃくさんじょう ひりゅうじごく)』の配信がスタートした。同作は尾田栄一郎の短編読み切りを原作としたアニメ作品なのだが、『ONE PIECE』と通じる要素が盛り込まれていたことで、大きな注目を集めている。

同作の原作となっているのは、1998年発売の『WANTED! 尾田栄一郎短編集』に収録されている『MONSTERS』という伝説の短編。尾田が19歳の頃、『ONE PIECE』連載前に発表した作品で、今回が初のアニメ化となる。

大まかなストーリーとしては、兵(つわもの)の魂を求めて流浪する若き侍・リューマが、空を舞う恐怖の象徴・竜(ドラゴン)と対決する……という王道のバトルファンタジー。その世界観は『ONE PIECE』とつながっており、主人公のリューマが本編に登場したこともある。

リューマのもっとも印象的な出番といえば「スリラーバーク編」だろう。ゲッコー・モリアの「カゲカゲの実」によりゾンビとなったキャラクターとして、空飛ぶ竜を斬ったと語り継がれる「伝説の侍」が登場する場面があったが、この謎めいた敵こそが『MONSTERS』に登場したリューマだった。

ゾンビのリューマはゾロと対決し、卓越した剣技を見せ付けた後、愛刀の「秋水」を託すという役どころ。それに対してアニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』では、若かりし頃のリューマが黒刀化した「秋水」をふるう姿が描かれていた。また同アニメのラストシーンではスリラーバークでゾロに刀を託すところも描写されており、アニオリ描写によって『ONE PIECE』の世界観とのつながりがあらためて示された形だ。

さらにいえばアニメ化に際してタイトルに追加された「一百三情飛龍侍極」という文言は、「ワノ国編」でゾロが百獣海賊団の大看板・キングを倒した時の技「閻王三刀龍 一百三情飛龍侍極」を引用したものだと思われる。

こうした縁はたんなる偶然ではなく、リューマはゾロの先祖という設定があり、「ワノ国編」ではその詳細な設定が明かされていた。リューマは元々ワノ国出身の侍で、数百年前の活躍によって今でも「刀神様」として祀られている英雄。鈴後の大名・霜月牛マルは彼の子孫にあたるが、第105巻のSBSでは「ゾロの家系図」によって、牛マルがゾロの大叔父であることが示されていた。

■リューマの生き様がゾロの未来を示す?

リューマという偉大な剣豪をルーツにもつゾロだが、ここから今後の活躍について想像を膨らませてみることもできるだろう。

この2人に共通する宿命として、まずは「竜」と縁が深いことを挙げられる。『MONSTERS』ではリューマが空を支配する竜と対峙する姿が描かれていたが、『ONE PIECE』の「パンクハザード編」ではゾロが巨大な竜を「死・獅子歌歌」によって一刀両断するシーンがあった。また「ワノ国編」のキング戦では、炎を巨大な竜の形にして放つ「御守火龍皇」という大技を打ち破っており、その時ゾロが繰り出した技こそが「一百三情飛龍侍極」だった。

リューマの子孫として、今後もゾロが“竜殺し”を運命付けられる可能性は十分あるだろう。これまでに登場したキャラクターから、対戦相手の候補を考えてみると、“リュウ”の文字を名前に含む黒ひげ海賊団のシリュウや「毒竜」(ヒドラ)という技を使うインペルダウンのマゼランなどが思い浮かぶ。

また『MONSTERS』において、リューマは剣豪「キング」との戦いを求めていたが、実はその正体は彼自身だった。これに対してゾロは、奇しくも「ワノ国編」でキングの名をもつ人物と対決し、見事に撃破。その戦いの最中に「地獄の王」になると宣言していたことも印象的だ。ゾロもリューマと同じように、キング(王)となる未来が待っているのかもしれない。

振り返れば海賊王ゴール・D・ロジャーは、“冥王”レイリーを右腕として海賊の世界のトップに立った。この構図は、いつかルフィが新たな海賊王になる際に、右腕のゾロが「地獄の王」になることを示唆しているようにも見える……。果たして新世代の剣豪が突き進む未来には、どんな境地が待っているのだろうか。

(文=キットゥン希美)

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