新卒ですが、思ったように「売上」を出せず悩んでいます。このままいくと「減給」や「クビ」になってしまうでしょうか……。

能力不足などを理由にした解雇は原則としてできない

結論からいえば、簡単に労働者を解雇することはできません。解雇は、労働契約法第16条で定められており「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合の解雇は無効」とされています。会社が労働者に対して解雇をいいわたすには、労働者側になんらかの原因がある場合です。仮に過失があったとしても、1回程度の失敗では「社会通念上相当」とはいえません。

売り上げ(成績)が思うように上がらないといった事情があっても、短期間で解雇という結論は認められない可能性が高いでしょう。また今回のケースは、新卒で入社したばかりの労働者です。社会人として不慣れな時期であり、会社側がまだまだ時間をかけて育てていく必要があります。さらに、配属された部署ではなかなか売り上げが上がらないときは、ほかの部署に異動させるなどして、本人に適した業務を検討することも会社の責任です。

そもそも、解雇が必要な場合の理由は、就業規則や労働契約書などに明記されていなければなりません。売り上げが出せないことを理由とした解雇理由が書かれていても、会社に多大な損害が出るようなものでなければ、無効になる可能性が高いといえます。

業績不振を理由に減給される可能性はある?

減給は、労働基準法第91条で制限されています。会社に損害を与えたときや、社内ルールに著しく違反した場合などは、罰則として減給する会社もあるでしょう。ただし、減給するときは「1回の減給金額が平均賃金の1日分の半額を超えないこと」と決められています。労働者が何度かルール違反をした場合でも、減給総額は月給の10分の1以下にしなければなりません。例えば、月給が22万円だった場合、減給されるのは2万2000円までです。ただし、売り上げが伸びないといった理由で減給が許されるかどうかは別問題になります。

売り上げが伸びないことで悩んでいるときの対策は?

会社の一方的な判断で、労働者が不利益な状況にならないためにあるのが、労働基準法です。売り上げが伸びないことを理由に解雇や減給される可能性はないことが分かれば、精神的にも楽になります。まず気持ちを楽にして、自分に足りないものを分析してみましょう。先輩や上司に相談して、客観的な意見をあおぐことも一つの選択肢です。お手本になる人物を決めて、その人がどのような流れで売り上げを伸ばしているのかを教示してもらうという方法もあります。

解雇や減給を心配するよりも気持ちを楽にして自己分析を

解雇や減給は、簡単に実行することはできません。労働者は労働基準法で守られていますので、不安を抱えているよりも、前向きに努力するほうが健全です。気持ちを楽にして、自分に何が足りていないのかを自己分析してみましょう。商材の知識は十分にあるのかなど、改めて確認してみることも大切です。先輩や上司の意見を聞いてみることも、解決につながります。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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