豪中銀、インフレ目標達成は道半ば 追加利上げ排除せず=総裁

[シドニー 9日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のブロック総裁は9日、インフレ率を2─3%の中銀目標の中間値に戻す取り組みはなお道半ばとの認識を示し、中銀は追加利上げを排除も確約もしていないと述べた。

総裁は議会で、明るい兆しが一部であるが、インフレとの闘いは終わっていないと語った。インフレの高止まりが豪経済や国民の重荷になっていることを踏まえ、中銀は妥当な期間内にインフレ目標を達成する決意だと強調した。

中銀は6日の理事会で政策金利を4.35%に据え置いたが、追加利上げは排除できないと表明した。

市場では追加利上げに懐疑的な見方が強いが、利下げ開始の予想時期も後ずれしている。5月の確率は先週前半の50%から20%に低下した。最も可能性が高いとみられているのは9月だ。

UBSはブロック氏のタカ派的な発言や世界的な早期利下げを巡る観測後退を受け、豪中銀の利下げ開始時期が11月になると予想する。従来は8月としていた。

キャピタル・エコノミクスも、5月から8月に予想を後ずれさせた。

ブロック氏によると、総需要は経済の供給能力をなお上回っており、労働需給についても最大雇用を持続しインフレを目標に合致させられるような状態に比べて逼迫が続いているという。

足元で総需要減速がインフレ圧力の緩和に寄与しているものの、「まだ到達すべき地点には達していない」とした。

中銀はインフレ率が2026年に目標中間値の2.5%に達するとの見通しを示している。

ブロック氏は、経済が中銀の中心的な見通しに沿って推移してもインフレが4年間も目標の範囲外にとどまることになると指摘。「インフレが目標範囲外で高止まりする期間が長いほど、家計や企業のインフレ期待が上昇するリスクが強まる」と懸念を示した。

一方で、消費が予想以上に急速に鈍化すれば、金利を引き下げる機会になるという認識も示した。

ブロック氏は今月の理事会で、据え置きを決定する前にさまざまな選択肢を検討したと明らかにした。

これまでの会合では検討する選択肢が利上げか据え置きかに限られていた。

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