【県警防犯アプリ】安全安心の一助に(2月9日)

 県警が新たに導入した防犯アプリ「POLICE(ポリス)アプリふくしま」の運用が先月末に始まった。犯罪や交通事故の発生状況をはじめ、熊の目撃情報などを地図で確認できる。防犯ブザーや110番の通報機能も備えている。多くの県民に利用を呼びかけ、防犯と安全意識の向上につなげてもらいたい。

 住居侵入や車上狙い、自転車盗など身近な場所で起きた犯罪や交通事故が、それぞれ異なるマークで地図上に示される。マークを軽くたたくと犯罪や交通事故があった日時や発生場所などの詳細が分かる。過去の発生状況が確認できるため、防犯や事故防止に役立てられる。

 マイエリアの設定では、県内22署から三つを選べる。例えば自身が住む場所と、離れて暮らす親や子どもの居住地を管轄する警察署を登録すれば、各警察署が「POLICEメールふくしま」で発信した安全情報に絞って見ることができる。これを基に家族で注意し合えば、防犯意識は一層高まるだろう。

 PLICEメールの登録者は昨年、10万人に達した。県警によると、成り済まし詐欺被害の未然防止や行方不明者の早期発見などで効果が出ている。ただ、登録者の8割近くは40歳以上で、若い世代への普及が課題という。若者に積極的な利用を促すことで、幅広い世代での安全情報の共有が可能になる。アプリとメールが県民の防犯意識を高める効果的な手段になるよう、県警は高校や大学などに出向いて普及に努めてほしい。

 昨年の県内の刑法犯認知件数は8003件で、一昨年と比べて1090件多い。窃盗犯は720件増の5675件で、全体の70.9%に達する。このうち自転車盗は265件増の1061件あり、68.6%が無施錠だった。被害者は高校生43.7%、大学生13.9%で、専門学校生や中学生を含めると若い世代が69.9%を占めている。アプリの活用で施錠が習慣化されれば犯罪抑止にも結び付く。

 ATMに近づくと、成り済まし詐欺の注意を促したり、事前に登録した家族に通知したりする機能もある。位置情報のメール送信機能は子どもや高齢者の見守りにも有効だ。便利な機能を上手に使い、安全安心な社会づくりを推進していきたい。(湯田輝彦)

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