市民が望む福島駅前に 東口再開発、市のまちづくり検討会で注文 「半端な施設いらない」 規模縮小「やむなし」

JR福島駅周辺のまちづくりについて、有識者や市民が意見を出し合った検討会

 中心市街地の活性化が大きな課題となっている福島市は8日、有識者や市民から意見を聞く「福島駅周辺まちづくり検討会」を市内で初めて開いた。JR福島駅東口で進む再開発事業の規模縮小は「やむなし」との声が上がる一方、ホール・コンベンション機能の充実を求める市民も。次代を担う若者の声を十分に反映させるべきだとの注文もあった。駅西口のイトーヨーカドー福島店閉店後の土地建物の利用にもさまざまな意見が出された。市は引き続き市民の声を聞き、駅の東西一体となったまちづくりを検討していく考えだ。

 東口の再開発事業は、市と福島駅東口地区市街地再開発組合が2日に設計見直し方針を明らかにしたばかり。工事費圧縮のための措置で見直し案は【図】の通り。検討会の複数の委員は「分棟化・小規模化はやむなし」との考えを示した。

 ただ、計画変更案に示された劇場ホール(約千席)とコンベンションホール(約1500平方メートル)の規模では全国的な行事開催に向かないとの指摘も。県建築士会福島支部副支部長の鈴木深雪委員(アルトプランルーム代表)は市外の施設の収容数と比較し、「中途半端な施設ならいらない」と主張した。ホールのように壁に仕切られていない「屋内広場」を提案し、パセオ通りやまちなか広場など隣接地への人の流れを生む重要性を述べた。

 県庁通商店街振興組合理事長の中野義久委員(文化堂社長)は「普段の生活では得られないエンターテインメントや心躍る体験の提供が必要」と強調。商業施設の整備ありきでなく、まずは人が集まるまちづくりを進めるよう求めた。

■ヨーカドー土地建物 文化、商業で意見交錯

 西口のイトーヨーカドー福島店の土地建物利用を巡っては、生涯学習や文化活動の拠点にすべきだとの意見と、商業施設としての機能を維持してほしいとの考えが示された。

 店舗は駅西口の正面に立地するが、5月の閉店が決まっている。市文化団体連絡協議会副会長の宍戸路枝委員(市振興公社理事)は「市内の施設は空きがなく活動ができる場所がない」として文化センター機能を要望。中央西地区自治振興協議会長の江川純子委員は「高齢者や親子連れが利用できる、身近なショッピングセンターとして存在していてほしい」と述べた。

 まちづくり全般への言及として、将来の地域の担い手となる若者の意見が大事との指摘が多く挙がった。若者のまちづくり参加を促す市の事業「こくりナビ」に登録している瓶子莉奈委員(福島大経済経営学類3年)は、施設を整備する際に市民が活用例を考えるワークショップを行った他県の事例を紹介。「若者が自分事として施設づくりに関われば利用率は上がる」と訴えた。

 「駅前に自転車を置ける場所が減ってから、人通りも寂しくなった気がする」「自転車で行ける場所に子どもが集い、遊べる場が少ない」との指摘もあり、駐輪場の充実を求める委員もいた。

 木幡浩市長は「施設をつくって劇的に状況が変わるのでなく、起爆剤のような役目だと思っている。まちに人が集うのが大切だ」と改めて市の姿勢を示した。

■傍聴満席、関心高く 第2回は28日

 8日の福島駅周辺まちづくり検討会には委員11人とオブザーバーらが出席。傍聴は用意した座席が満杯となる約50人が集まり、関心の高さを示した。市は今後も市民との議論の場を複数回設ける。第2回は28日の予定。17日にはタウンミーティングを開く。

 東口の再開発ビルは当初、2026(令和8)年度の開業を目指していたが、工事費高騰の影響で1年程度の延期が発表されていた。さらに計画変更が必要となり、複合棟を設計し直すため、開業が早くても2028年度にずれ込む見通しとなっている。

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