パンを食べて石川県を応援しよう 福島県パン協同組合 10日、いわき市小名浜で被災地向け募金イベント

石川県産の小麦粉を手に「たくさんの人に食べてほしい」と話す今井社長

 給食用パンの製造業者でつくる福島県パン協同組合は10日、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県を応援しようと、いわき市のイオンモールいわき小名浜でイベントを催す。石川県産の小麦粉に熊本地震の被災地・熊本県と東日本大震災の被災地である本県産を加えて焼いたパン3千個を無料配布し、能登への寄付金を募る。

 組合専務理事で今井製パン(いわき市)社長の今井聖訓(きよのり)さん(61)が発案した。組合所属の6社が石川県産「頭脳粉」と熊本県産「ミナミノカオリ」、本県産「ゆきちから」を使い、いわき市の給食で人気のメロンパンや郡山市のご当地グルメ「クリームボックス」などを作って提供する。

 今井製パン3代目の今井さんは震災と東京電力福島第1原発事故で被災し、海岸沿いのいわき市四倉町にあった工場は津波で壊滅した。「給食がないと子どもが腹をすかせる」という思いで2カ月後の2011(平成23)年5月から仮の工場で給食用のパンを作り始め、翌年4月には現在の小名浜工場を稼働させた。

 今年の元日、テレビから伝わる能登半島の惨状に震災当時の恐怖がよみがえった。同時に、県内外の同業者が復帰を支えてくれたことを思い出した。「パン屋としてできることをやろう」と思い立ったという。

 3県の小麦粉を使ったパンの配布は午前10時から。なくなり次第、終了となる。今井さんは「たくさんの人が食べてくれればうれしい」と望む。被災地にずっと心を寄せ続ける考えだ。

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