手順書守らず作業 福島第1原発汚染水漏れ 手動の弁、開いたまま

田南所長(左)らに原因究明と再発防止を求める渡辺部長(右)

 東京電力福島第1原発の高温焼却建屋外壁にある排気口から放射性物質を含む水が漏えいした問題で、東電は8日、手順書通りの作業が行われていなかったと明らかにした。手順書では、建屋内にある汚染水の浄化装置を洗浄する際には、装置と排気口をつなぐ配管の手動弁を閉じるよう記載しているが、実際は一部の弁が開いていた。東電は7日の発生から10日以内に原子力規制委員会に現状や対応を報告する。

 手順書は手動弁の開閉について、装置の運転中と洗浄中は閉め、運転停止中は装置内で発生した水素を排気口から放出するために開くとしている。今回は弁を閉める必要があったが、16カ所のうち10カ所が開いたままになっていた。東電の担当者は8日の記者会見で、人為的なミスかを問われ「作業員からの聞き取りを含めて確認している。評価は改めて報告する」と説明した。

 東電によると、7日午前、協力企業の作業員6人が汚染水の浄化装置を洗浄していたところ、装置が入る建屋から放射性物質を含む水が流れ出た。東電は最大220億ベクレルの放射性物質を含む5.5トンの水が漏えいしたと推計している。8日夕方、水が染み込んだとみられる建屋周辺の土壌の回収作業を開始した。

■福島県が再発防止要求

 東京電力福島第1原発で放射性物質を含む水が漏えいした問題を受け、福島県は8日、東電に原因究明と再発防止を申し入れた。

 渡辺仁県危機管理部長が県庁で東電の田南達也福島第1原発所長に対し、設備面・作業面・管理面の調査と分析、再発防止の徹底、安全管理体制の構築、正確で分かりやすい情報発信の確実な実施を求めた。

 田南所長は「県民をはじめ、広く社会の皆様にご心配、ご不安を与えてしまい申し訳ない」と謝罪し、「今回のようなことが二度と起こらないように全力で取り組む」と述べた。

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