県立高入試前期選抜 特色選抜5年連続定員割れ 制度見直し検討求める声も

 今春の県立高入試で、自己推薦の特色選抜と学力重視の一般選抜を合わせた「前期選抜」の出願受け付けは8日、締め切られた。全日制は特色、一般選抜を合わせた募集定員1万1880人に対し、1万1204人が出願した。このうち特色選抜は定員2630人に対し2075人が出願し、平均倍率は0.79倍。2020(令和2)年春に現在の制度に移行して以降、5年連続で定員割れとなった。専門家は勉強と実技などの両輪での対策が生徒の負担につながっている可能性があるとして、制度見直しを検討する必要性を指摘した。

■福島1.06倍 橘1.13倍 全体倍率

 県教委が8日、志願状況を発表した。全日制の前期選抜の志願状況は【表】の通り。特色選抜のうち、1倍を超えたのは40の学科・コースで、全145学科・コースの約4分の1にとどまる。倍率が最も高かったのは、あさか開成の国際科学で2.67倍だった。

 特色選抜の倍率は初年の0.82倍が最高で、以降は0.76~0.79倍で推移している。特色選抜は一般選抜と同じ日程で学力検査を実施し、各校の判断で面接や実技の試験も行う。一般選抜との併願は可能だが、志望校を1校に絞る必要があるため、学校現場からは、難しい判断を迫られる受験生は少なくないとの指摘がある。特色選抜に向けた面接練習などに時間を割くのをためらう生徒が多いとの見方もある。

 また、県教委は新型コロナウイルス感染拡大の影響で部活動が制限された時期があったことなどを背景に、生徒が特色選抜の受験を見送った可能性もあると分析する。

 教育評価を専門とする東北大大学院教育学研究科の柴山直教授は「勉強と実技などの対策を同時期にするのが生徒の負担となっている可能性がある」と特色選抜が抱える課題を指摘。「生徒にとってどんな試験制度が適切かを改めて考える必要があるのではないか」と制度の見直し検討を提言している。

 特色、一般選抜を合わせた全体の志願倍率は若松商の情報ビジネスの1.48倍が最高だった。

 各校は9日から14日まで1回に限り、出願先の変更を受け付ける。県教委は14日に最終的な出願状況を発表する。入試の全日程終了後、出願結果などを詳細に分析する方針。

■来月5日学力検査 14日合格発表

 前期選抜は3月5日に学力検査を行い、同日から7日までに面接や小論文、実技などを実施する。合格発表は3月14日。

 合格者数が募集定員に届かなかった学校が実施する後期選抜は3月22日に面接などを行い、同25日に合格者を発表する。

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