悪質レッカー業者の実態 ウェブサイトにはうその情報「待ちの時間も作業時間」

去年、浜松市であったロードサービスの高額請求事件。違法な請求をするレッカー業者の実態を取材しました。

女性:
「最初丁寧に対応してくれってすごい信じちゃって。最終的に24万。信じていたのに」

去年、浜松市であったロードサービスの高額請求事件。

緊急時に付け込んだ悪質な手口とは。

女性「じゃあもうず~っと話し合いじゃないですか。お金払ったのに」

業者「そうですね」

女性「いいんですか?それで」

業者「それ以上拘束されるようでしたら作業時間がかかってきますんで。我々拘束されたので」

女性「作業なにもないじゃないですか。もうお金払ったから」

業者「これ話してるのも作業ですよ?ボランティアでやってるわけじゃないので」

高圧的な態度で支払いを迫る従業員。

去年1月、浜松市内の駐車場で撮影された映像です。

ウェブサイトには「タイヤパンク4400円から」

1月、警察はこのレッカー業者の代表を務める被告(40)を詐欺と不正競争防止法違反の疑いで逮捕しました。

船引とわ記者:
「被告の会社のHPには国家資格を持った整備士が伺いますと書いてありますが、実際にはいなかったということです」

被告はおととし6月から1年にわたって、会社のウェブサイトにうその情報を記載したなどとして7日起訴されました。

被告の会社に、事故処理を依頼したという女性(20)です。

女性:
「普通に事故っていうか、そういうときって焦ったりするじゃないですか。なんかそこにつけ込んでるっていうか」

女性は去年4月、浜松市内で車を運転していて縁石に乗り上げ、左のタイヤ2本をパンクさせてしまいました。

女性:
「インターネットで「浜松 タイヤ パンク レッカー」みたいな感じで調べて、一番上に出てきたサイトに電話かけてっていう感じです。最短5分で来るっていうのと、いくらか忘れちゃったけど3000円から4000円ぐらいって書かれていて」

被告の会社のウェブサイトには、「タイヤパンク4400円から」と書かれています。

JAFによりますと、この女性の事故の場合、相場は最大2万円程度だといいます。

1時間待たせると

女性:
「最終的に24万…って請求されました。母が「見積もりの紙を見たい」ってその人に言って。だけど「お金払うまでは見れない」みたいなって言われて」

「「見せてくれないなら、もうじゃあ払う」ってなって、
「払います」って言ったときに、「24万だ」って言っていました」

請求額は、当初の17万円から7万円も上乗せされていました。

その理由も納得できるものではなかったといいます。

女性:
「待っている時間もこっちは作業時間に入るから、それでまあ、プラスになっているって言われて」

「話し合いしている時間は、作業時間としていただきます、みたいな。ボランティアじゃないんでって言われて」

その時のやり取りを撮影した映像です。

「そうしましたら、書類完成させるので、こちら読んでいきますのでチェックしてってもらっていただいてもいいですか。本件に異議ははありません。よければチェックください」

「お金払ったけど異議は…ちょっとあるんですけど」

「どういった異議がありますか?」

「ちょっと高いなと思ってるんで。払ったけど、
ちょっと高いかなと思ってるんですよ」

「これレ点やんないと終わらないんですか?」

「そうですね、異議があれば異議を解決しないと
終わるわけにはいかないと思いますので」

「じゃあもうず~っと話し合いじゃないですか。お金払ったのに」

「そうですね」

「いいんですか?それで」

「それ以上拘束されるようでしたら作業時間がかかってきますんで我々拘束されたので」

「作業何もないじゃないですかもうお金払ったから」

「これ話してるのも作業ですよ? ボランティアでやってるわけじゃないので」

結局24万円を

さらに。

「収入印紙貼って割り印押してくれるって言ったじゃないですか」

「そうですね」

「ちゃんとやってもらえますか?」

「いいですか?」

「すいません、お待たせしました。これ書類お渡しになりますね。これ領収書入っていますんでね。あの~お願いします」

「領収書をだから収入印紙貼って割り印でって言っているじゃないですか」

「約束を守っていただけなかったんで、あなたの約束を僕は守る必要ないので。すみませんこれで失礼します」

「できるって言ったじゃないですか。領収書ちゃんとくださいって言って」

「すぐ10分で来るって言って守らなかったのはどなたですか?」

「それだからって領収書をもらえないのはおかしくないですか?」

結局24万円を支払った女性。

それは、一人暮らしをするために貯めていた、大切なお金だったといいます。

女性
「普通に事故っていうか、そういう時って焦ったりするじゃないですか。なんかそこにつけ込んでるっていうか」

「最初ていねいに対応してくれって、すごい信じちゃって。でも最終的にそうやって言われて、信じちゃった自分が悔しいなってって思いました」

被告は、起訴内容について何も話していないということです。

解説

関連する広告が出てくる「リスティング広告」今回被告が活用したのはネットで検索したときに、
です。

広告主は、検索エンジン側に「この言葉が検索されたら広告を出てほしい」と依頼をします。

興味のある人のそばに広告を出せるので、クリックされる可能性が高い上、広告主はクリックされて初めてお金を払うためリスクが少なく、小さなお店も比較的出しやすい広告なんです。

今回被害者は、「浜松 レッカー」と検索した際、検索画面の一番上に表示されていた大村被告のウェブサイトをクリックしてしまったということです。

© 静岡朝日テレビ