『システム・クラッシャー』ポスター&予告編公開 母の愛を渇望する9歳の少女の姿が

4月27日に公開されるノラ・フィングシャイトの長編初監督作『システム・クラッシャー』のポスタービジュアルと予告編が公開された。

Netflix映画『消えない罪』のフィングシャイトが監督・脚本を務めた本作は、社会のどこにも居場所のなくなってしまった9歳の少女を描いた人間ドラマ。

9歳の少女ベニーは、幼少期に父親から受けたトラウマを背負い、手の付けようのない暴れん坊と化してしまう。烈火のごとき怒りようで、里親、グループホーム、特別支援学校、どこに行こうと問題を起こして追い出されてしまう。そんなベニーの願いは一つ。「ただ、ママのもとに帰りたい」。しかし、母はベニーに対して愛情は持ちながらもどのように接していいのか皆目見当がつかず、施設へと押し付け続ける。このままでは何処にも居場所がなくなってしまうという中、非暴力トレーナーのミヒャは、自分とベニーの2人きり森深くの山小屋で3週間の隔離療法を受けさせることを提案。はじめは文句を言い続けていたベニーだったが、徐々にミヒャへ心を開き始め、ある変化が……。

ベニーを演じた主演のへレナ・ツェンゲルは、本作出演後、トム・ハンクス主演作『この茫漠たる荒野で』(2020年)に孤児役で出演。A24製作の『The Legend of Ochi(原題)』ではウィレム・デフォー、エミリー・ワトソンとの共演が決定している。ベニーの救いの鍵を握るトレーナー、ミヒャ役を演じたのは、Netflix映画『西部戦線異状なし』で英国アカデミー賞ノミネートに輝いたアルブレヒト・シュッフ。2020年ドイツ映画賞では主演男優賞を受賞した。同じく、ベニーを担当するソーシャルワーカーを演じたガブリエラ=マリア・シュマイデも助演女優賞に輝いた。

公開された日本版ポスターは、子供も大人も関係なく悪態をつきまくる嵐のような9歳の少女ベニーを真正面から捉えたカット。キャンディーを頬張り、怒りとは裏腹に愛の渇望を訴える視線が切り取られている。

一方、予告編には、中指を突き立て捲し立て続けるベニーの絶叫が満載。見知らぬおじさんに悪態をつくベニー、学校に行きたくないと刃物を振り回すベニー、鎮静剤を打たれ動けなくなったベニーなど、さまざまな姿が捉えられている。予告編で流れるニーナ・シモンの「Ain’t Got No, I Got Life」は、なにも持ちえない自分という絶望と、それでも命と自由だけはあるという不屈の希望を歌った楽曲で、映画本編でも使用されている。

(文=リアルサウンド編集部)

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