【伊達公子】進路を自分で決めることで責任と覚悟が生まれる<SMASH>

プロテニス選手として世界で活躍したいと考えている場合、中学卒業時点で、どの道に進むのか、どうやって決めるといいのでしょうか。基本的には前回書いた通り、自分自身の思い、覚悟の強さ、自分がどうありたいかということで決めます。ただ、中学の時に結果を出せていない場合は、決断が難しいと思うかもしれません。

私は中学時代の戦績は、全日本ジュニア14歳以下で1度ベスト4に入っただけです。クラブのコーチに高校進学の話をしたら、1歳上の木戸脇真也ちゃんがプロになっていたこともあり、「プロになれ」と言われました。「戦績もないし、いきなりプロになることは考えたこともないです」と言って、その時は終わりました。

当時からクラブのオーナーは世界を見ていたので、高校卒業してからでは遅いというアドバイスだったのです。ただ全国のトップレベルともいえない当時の私にはさすがに大きな決断すぎてその選択はできませんでした。そして、寮があってテニスができる園田学園高等学校を選びました。

実は推薦をもらっていたのは同じ兵庫県の夙川学院でしたが、文通している友達がいる園田の方に行きたいと思い、学校に推薦のお願いをしに行った経緯があります。当時、京都には私と同じぐらいのレベルの選手が4人いて、他の3名は夙川に行きました。もし私も夙川に行っていたら、学校生活を楽しんで周りに流されて、飛躍することはなかったと思います。直感に従って正解でした(笑)。
さて、進路をどう決めるかですが、しっかりリサーチすることです。今は色々な情報が手に入りますから、良い情報も悪い情報も集めること。そして大事なのは自分で決めることです。私も高校進学が自分で決めた最初の大きな決断でした。高校時代は年齢的にも大きく影響する時期ですから、親が決めたという言い訳ができる環境は作るべきではありません。迷っても自分で決めることで、責任と覚悟が生まれます。

ただし中学生ですから難しい部分もあります。進学に際して、いい部分だけを話す人もいるでしょうから、親やコーチは冷静になってサポートしてあげてください。

中学卒業時点で戦績がないという場合ですが、気にする必要はないでしょう。ジュニアの時に結果が出ていたからといって将来的に成功する保証はありません。私のように遅咲きの場合もあります。だからこそ、自分がどうしたいのかを、しっかりと考えてイメージを持つことが大事です。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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