日本製鉄、春闘要求第1陣 ベア3万円、交渉先導

経営側(右)に春闘の要求書を提出する日本製鉄労働組合連合会の幸野直通会長=9日午前、東京都千代田区

 日本製鉄の労働組合が9日、今春闘の要求書を経営側に提出した。連合傘下の基幹労連に加盟する鉄鋼や重工大手の労組は同日一斉に要求を示し、主要製造業の賃上げ交渉で事実上の第1陣。鉄鋼大手は基本給を底上げするベースアップ(ベア)相当の賃金改善分として前回要求を大きく上回る月額3万円を求め、歴史的な物価高の中で迎えた春闘の相場形成の先導役として重責を担う。

 日本製鉄労働組合連合会の幸野直通会長は「激しさを増す人材獲得競争を勝ち抜くためには、魅力ある労働条件の構築は極めて重要だ」と述べ、経営側に要求書を手渡しした。

 IHIの労組も要求を提出した。労組側は物価高への対応が重要だと強調した。

 日鉄とJFEスチール、神戸製鋼所は2年に1度の交渉が慣例で、2023年は見送っていた。この間に急速に進んだ物価上昇に追い付く賃金を確保するため、高い要求を掲げて臨む。

 重工大手の三菱重工業と川崎重工業、IHIの労組は月額1万8千円を求める。IHIは要求額として47年ぶりの高水準となる。

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