家のローン完済!でも貯蓄が「500万円」しかありません…3年後に定年ですが「再雇用」で働いたほうがよいですか?

65歳以降の支出額と年金受給見込み額

年金がいくらくらいもらえるのかを把握していない方もいらっしゃることでしょう。
令和5年4月分からの年金支給額(月額)の平均は、以下の通りです。

__●国民年金(老齢基礎年金満額):6万6250円
●厚生年金(夫婦二人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):22万4482円__

65歳以降に夫婦二人で受け取れる年金額(令和5年度)と支出額から、1ヶ月当たりの不足額を算出すると、表1の通りになります。
なお1ヶ月当たりの支出は、総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)」を基に記載しています。

表1

※不足額=年金受給額-(消費支出額+非消費支出額)
※筆者作成

あくまでも平均値ですが、毎月約4万4000円の不足額を、500万円の貯蓄を取り崩してまかなわなければなりません。

年金と500万円の貯蓄で何年間生活できるのか

では実際に、表1の年金と500万円の貯蓄で、何年間生活できるのかを計算してみましょう。

年金だけでは毎月約4万4000円不足しますので、500万円を4万4000円で割ると約9年6ヶ月で貯蓄を全て使い切ります。
65歳から9年6ヶ月ですと、74歳頃に全ての貯蓄を使い切る計算です。

厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、平均寿命が男性で約81歳、女性で約87歳ですので、およそ7~13年分の生活費が足りないことになります。

また、65歳以降に医療費や介護費などの出費が発生すると、貯蓄はさらに早く尽きてしまうでしょう。

500万円の貯蓄だと再雇用で働くことが現実的

65歳以降の生活費を確保するためには、再雇用もしくは再就職で働くことが現実的です。

「人生100年時代」と考えると、65歳で給与収入が途絶えるのはあまりにリスクが高いといえるでしょう。
株や投資信託で運用する方法もありますが、それなりのリスクもあります。
そのため「貯金が少ない」「年金だけでは生活が苦しい」といった方は、定年後も働く必要があるでしょう。

なお、総務省統計局の統計トピックスNo.129『統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-』によると、65歳以降になっても働く方は2020年時点で25.1%と、9年連続で増加しています。
65歳以降は賃金がさらに低下するおそれもありますが、夫婦で年金を月22万円程度もらえるため、生活に困るほどではないでしょう。

ハローワークでは「生涯現役支援窓口」を設けており、65歳以上の方でもキャリア相談ができますので、一度相談してみることも選択肢のひとつです。

定年間近に500万円の貯蓄と年金だけでは生活が厳しい

住宅ローンを完済して、定年まであと3年の方が、500万円の貯蓄と年金だけで生涯生活することは難しいと分かりました。

しかし、高齢者でも働ける環境は整いつつあるため、定年後も再雇用や再就職で働くことで、年金と合わせれば十分生活していけそうです。
万が一のためにも、余裕のある老後資金が必要といえるでしょう。

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
[総務省統計局
家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯 の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2022年-(18 ページ)](https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2022.pdf)
統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- 2.高齢者 の就業 高齢者の就業率は25.1%、9年連続で上昇
[厚生労働省
令和4年簡易生命表 1 主な年齢の平均余命 表2 平均寿命の年次推移](https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life22/dl/life22-02.pdf)
シニア世代のための就職相談窓口 「生涯現役支援窓口」のご案内(1ページ目)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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