『汚染水漏れ』現場で何が?福島第一原発 16か所の「弁」のうち10か所開いたまま…人為的ミスか【解説】

7日、福島第一原発の浄化装置から放射性物質を含む汚染水が漏れた問題で、東京電力では8日夕方から汚染水がしみ込んだ恐れのある土壌の回収を進めています。

福島第一原発で7日午前9時前、汚染水の浄化装置で、建物の外壁の排気口から水が漏れているのを作業員が確認しました。漏れた水は、放射性物質のセシウムとストロンチウムを含む汚染水でその量は5.5トン、放射性物質の総量は220億ベクレルと推計されています。

排気口の周辺などでは一時放射線量の数値が上昇しましたが、通常の数値に戻っています。東京電力では、これまでに外部への影響は確認されていないとしています。

当時は、浄化装置の洗浄作業が行われていましたが、本来、作業員が手動で閉じなければなけない16か所の弁のうち10か所が開いたままだったため、およそ40分にわたって汚染水が漏れ出た可能性があるということです。

東京電力では、残っていた水のふき取りを終えましたが、大半は周辺の土壌に染み込んだおそれがあり、8日夕方から土壌の回収作業を始めています。

手動で閉じる「弁」16か所中10か所が開いたまま…

今回、水漏れがあったのは、福島第一原発の4号機より東側、山寄りにある高温焼却炉建屋の中にある第二セシウム吸着装置、通称「サリーⅡ」と呼ばれる汚染水の浄化装置です。

「サリーⅡ」は、廃炉作業で出た汚染水から、放射性物質のセシウムを何段階に分けて取り除く装置のひとつで、水が漏れたのはこの装置で発生する水素だけを外に出す排気口です。

この装置では7日、通常の運転を止め、点検を行うために、配管に残っている水をろ過した水で押し流す作業が行われていました。その「ろ過水」を流したところ、排気口から汚染水を含む水がおよそ40分間漏れた可能性があるということです。

東京電力によりますと、この水を流す作業の時に手動で閉じなければならない「弁」16か所のうち、10か所が開いたままでした。これが水が漏れた直接の原因で、なぜこの弁が開いていたのか、作業員から聞き取りを行うなどして調べることにしています。

第一原発の廃炉作業では去年10月、浄化設備アルプスから2トンあまりの廃液が飛び散り、作業員2人が被ばくする事故が起きていて、福島県は8日、より一層の安全管理の徹底を図るよう申し入れました。人為的なミスの可能性があり、徹底した原因究明と対策が求められています。

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