低迷が続く男子テニス元世界3位のティームが同年代の新コーチを招聘<SMASH>

苦境に立たされている男子テニス元世界ランキング3位のドミニク・ティーム(オーストリア/現90位)が新たなコーチを迎え入れたことが、スペインメディア『Punto de Break』の報道で明らかになった。

2022年3月に手首のケガから復帰して以降は、以前の強さを取り戻せずにいる30歳のティーム。昨シーズンは母国開催の「ジェネラリー・オープン」(ATP250)で準優勝するなど復調の兆しも見せつつあったが、その後は再び成績が振るわず。年が明けてからも「ブリスベン国際」(ATP250)と先の「全豪オープン」(四大大会)でいずれも初戦敗退に終わり、長く暗いトンネルを抜け出せずにいる。先日には地元メディアの取材で近い将来での現役引退も匂わせていたほどだ。

そんな彼は自身の変革につなげたいとの考えから、昨年4月にコーチ契約を結んだ名将ベンジャミン・エブラヒムザデ氏(ドイツ/元512位)との師弟関係を全豪終了後に解消。一方で新コーチについては「スーパーコーチは雇わない。できる限り一緒に旅をしてくれる人、そして僕のキャリアをよく知っている人を探している」と述べるにとどめていたが、間を置かずしてエブラヒムザデ氏の後任が決まったようだ。
『Punto de Break』によると、ティームは過去に元世界12位のボルナ・チョリッチ(クロアチア/現31位)を指導したマテ・デリッチ氏(クロアチア)を新たに招聘したという。デリッチ氏はシングルスで150位をマークした元ツアープレーヤーで、ティームと同じ30歳ながらコーチとしても豊富な経験を兼ね備えている人物だ。

経歴を考慮すると、確かにデリッチ氏はティームが求める指導者像とぴったり一致しているようにも思える。20年の全米オープンで悲願の四大大会初優勝を飾るなど男子ツアーの代表格として活躍してきたティームが光明を見出せない現状はファンにとってもつらいものだ。デリッチ氏との新タッグが少しでも良い方向に作用してくれることを期待したい。

文●中村光佑

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