ルイス・ハミルトン率いるX44がエクストリームEを電撃撤退「水素時代への転換を見守っていく」

 創設初年度からワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』に参画し、2022年にはシリーズチャンピオンを獲得。ここまで3シーズンを戦ってきたルイス・ハミルトン率いるX44が、新年度シーズン4の開幕を目前にチャンピオンシップから離れることを発表した。

 シリーズからの電撃的な撤退を表明したF1“7冠”王者のチームは、組織が立ち上がった当初の2021年と2022年にはイギリスの名門プロドライブが運営を担当。その後はロダン・カーリン(現在のロダン・モータースポーツ)が引き継ぎ、前年度のエントリー名を継承したX44 Vida Carbon Racing(ヴィダ・カーボン・レーシング)として参戦してきた。

 直近にアナウンスされたハミルトンの『2025年フェラーリ移籍』というニュースとは直接的に関わりはないと見られるものの、その活動計画のなかでエクストリームEに関する言及がなかったことからも、このオフロード選手権からの早期撤退の可能性が囁かれていた。

 そのX44のプレスリリースでは「これまでチームに所属したクリスティーナ・グティエレス、フレイザー・マッコーネル、そしてセバスチャン・ローブ……我々が成し遂げたことすべてを達成するために、一生懸命に働いてくれた才能あるチームメイト全員に感謝します」と記された。

「エクストリームEファミリーの一員として3年間活動してきましたが、本日X44がシリーズから撤退することを発表します。我々はX44として素晴らしい3シーズンを過ごし、複数のレースで優勝し、さらには世界チャンピオンにも輝きました」

「コース上での結果以上に、モータースポーツをより持続可能なものにする方法についての大きな議論に参加できたこと、あらゆる種類の背景を持つ人々に、このチームで成長する機会を与えられたことに感謝します。そして我々のチームオーナーであるルイスが、引き続き“Racing for All”のプログラムにおいて、その精神と遺産を残してくれるでしょう」

昨季はクリスティーナ・グティエレスとフレイザー・マッコーネルのペアでシリーズを戦ってきた

■シリーズ創設者はハミルトンとX44に感謝

 初代チャンピオンに輝いたかつての“宿敵”ニコ・ロズベルグのロズベルグXレーシング(RXR)に並び、シリーズで成功を収める強豪チームに成長したX44は、2021年に“予選全戦最速”という完全制覇の偉業を達成。初年度から2年間を過ごしたWRC世界ラリー選手権“9冠”のレジェンドでもあるローブは、2022年に同チームで新たなチャンピオンの肩書きを加え、その僚友を務めたグティエレスは今季よりネオム・マクラーレンXEヘの移籍を表明していた。

「2024年に我々自身が参戦することはありませんが、サイドラインからシリーズを応援し、今後(水素燃料電池搭載の)エクストリームHでのエキサイティングな展開に注目していきます。これまでの皆様のご支援に感謝いたします」

 この発表に際し、エクストリームE創設者兼CEOであるアレハンドロ・アガグは「成功した3シーズンの間、シリーズに貴重な貢献をしてくれた“サー”ルイス・ハミルトンと彼のX44チームに感謝したい」と語った。

「彼らがチャンピオンシップを勝ち獲ったシーズン2での成功は言うまでもなく、コース上でのいくつかの素晴らしい勝利でその資格を証明した。さらにシリーズの“Racing for All”のプログラムに則り、トラック外での男女平等、多様性、包括性に焦点を当てた取り組みと実施においても重要な役割を果たした」

「X44はパドックにおける多様性と代表性を高める原動力であり、これはエクストリームEが初日から共有している精神だ。我々も彼らの将来の成功を祈っている」

そのX44は「今後(水素燃料電池搭載の)エクストリームHでのエキサイティングな展開に注目していきます」とし、将来的な復帰への含みを持たせている

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