アングル:1月は外国人がアジア株売り越し、米早期利下げ期待後退で地合い悪化

Gaurav Dogra

[8日 ロイター] - インド、タイ、台湾、韓国、フィリピン、ベトナム、インドネシアのアジア7カ国・地域の証券取引所データによると、外国人投資家による1月の取引は合計7億7900万ドルの売り越しとなった。

2023年最後の2カ月はいずれも買い越しだった。しかし今年に入ってからも米経済が引き続き底堅く推移する中で、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期が従来の予想より遅くなり、年内の想定利下げ幅は縮小するとの見方が広がり、アジア株の地合いも悪化に転じた。

MSCIアジア株指数は23年11─12月に13.4%上昇した後、今年1月は1.7%程度下がった。

ただIGの市場ストラテジスト、ヤップ・ジュン・ロン氏は、1月の資金流出はリスク環境の根本的な変化というよりも、利益確定や戦略的なポジション修正の表れという側面が強いと述べた。

外国人のインド株売り越し規模は約31億ドルと7カ国・地域で最大。12月は約79億4000万ドルの買い越しだった。

ノムラのアジア太平洋株式ストラテジスト、チェタン・セス氏は「インドにおける外国人投資家の売りは、大部分が絶対的、相対的なバリュエーションの高まりへの懸念や、一部大型株の業績が予想より低調だったことに伴う利益確定によるものだったと考えている」と説明した。

12月に500万ドルの買い越しだったタイ株からも、8億7100万ドル前後の資金が流出した。

一方、韓国株は3カ月連続の買い越しとなり、1月は22億6000万ドル前後が流入。インドネシア株と台湾株もそれぞれ、5億3500万ドルと2億6700万ドルの買い越しとなった。

アジア株に関しては、世界的な半導体市況の回復や、米経済のソフトランディングが見込まれる点などから、先行きに楽観的な姿勢を維持する向きもある。

ノムラのセス氏は「中国に対する心理が最終的に持ち直せば、資産クラスとしての新興国全般の地合いが上向くとともに、アジア株全体もいずれ押し上げられるのではないか」と話した。

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