スタート3分前に滑り込み 久常涼「喜びで体も動いた」2オーバー発進

滑り込みで繰り上がり出場が決まった久常涼。名物パー3の雰囲気に圧倒(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇WMフェニックスオープン 初日(8日)◇TPCスコッツデール(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)

ウエーティング1番手から急きょ告げられたスタート時間は、3分後の午前8時26分。久常涼が急いでティイングエリアに行くと、同組の2人はもうボールを打っていた。「良かった、ラッキーで出場できた」と、ドタバタのスタートも喜びが上回った。

フィールドに入れなかった今週は、マンデートーナメント(予選会)に挑戦したが出場権の獲得には届かなかった。開幕前日までウエーティング1番手にいたが、「雰囲気的にも、出られる感じじゃなかった」と、今朝もあきらめ半分で午前6時30分にコース入り。ストレッチをしながら、万が一の可能性にかけた。

初めての“スタジアム”を楽しんだ(撮影/田辺安啓(JJ))

そこへ、ルーカス・グローバーがスタート時間に遅刻したため、繰り上がりで出場が決まる朗報が入る。準備もそこそこにティオフしたが、「出場できた喜びで、体も動いて良かった」と前半2番でバーディを先行させた。

比較的イメージが良いというフロントナインで、7番(パー3)を終えて2アンダー。風が強まった8番からは4ホール連続でスコアを落とし、15番(パー5)のセカンドを打ったところで荒天による3時間30分の中断を挟む。再開後は3打目を2m弱につけてバーディを奪った。

巨大なギャラリースタンドに囲まれた名物ホールの16番(パー3)では、ティショットを手前に外してブーイングの洗礼を浴びた。それでも2打目でカップをかすめるアプローチショットを放ち、今度は歓声と拍手の渦。「ガヤガヤしている中で打つのは慣れていないので、ドキドキした。あの歓声には圧倒されました」と笑顔を見せ、スタンドにボールを投げ入れた。

パーで切り抜けてボールを観客席へ(撮影/田辺安啓(JJ))

競技は日没順延となる中で、第1ラウンドを3バーディ、3ボギー1ダブルボギーの「73」で完走。2オーバーは暫定97位と出遅れたが、気持ちは全く折れていない。「あしたもあるので、しっかり伸ばせれば4日間プレーできる」と力強く話した。(アリゾナ州スコッツデール/谷口愛純)

アプローチを寄せると大歓声に変わった(撮影/田辺安啓(JJ))

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