病院での医療用麻薬の処方件数が増加=韓国

病院での医療用麻薬の処方件数が増加=韓国

常習的な皮膚科の施術を口実に向精神性医薬品を使用してきた「アックジョン(狎鴎亭)ロールスロイスひき逃げ事件」の加害者シン某被告が1審裁判で懲役20年を宣告された。飲酒運転だけでなく薬物を使用した運転者まで道路に現れ害を与えており、世間の警戒心が高まっている。

シン被告は昨年8月2日、向精神性医薬品2種を使用した状態でハンドルを握り、ソウル地下鉄3号線の狎鴎亭駅付近で歩道に突進し、通行人の20代の女性をひいて逃走した。被害者は脳死状態となり、4か月後に心停止により死亡した。

シン被告に20年の刑を宣告したソウル中央地裁のチェ・ミンヘ判事は、「この事件は通常的な飲酒運転ではなく、薬物の影響による運転中に被害者が死亡した事件」とし、「最近は向精神性医薬品の使用が増え、それにより何の罪もない人が犠牲となる可能性があることを如実(にょじつ)に示しており、重刑の宣告が必要」と判示した。

病院で医療用麻薬を処方されるケースは毎年増加している。健康保険審査評価院によると、2018年から2022年までの5年間で医療用麻薬・向精神性医薬品の健康保険請求件数および請求金額は急激に増加している。

2018年に3964万5000件だった医療用麻薬の健康保険請求件数は2022年には4326万9000件に増加した。

この中には正当な治療用として麻薬類を処方される患者もいるが、シン被告のように誤濫用するケースもなくはない。

食品医薬品安全処は今後、医療用麻薬に対する供給段階、製造供給段階に対する管理義務を強化していく予定だと明らかにした。新薬や稀用薬品、新たな投与経路の医薬品などを対象に進めていた危機管理計画(Risk Management Plan, RMP)制度に医療用麻薬の項目を別途で追加するとともに強化していく計画だ。

食品医薬品安全処の関係者は、「医療用麻薬を使用する患者が中毒者に転換しないためには、診断、処方、調剤、投薬段階で適切な介入が行われるべき」と話している。

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