屈辱の“引き立て役”日韓がともに2試合で選出…驚き満載のアジアカップ「最大の番狂わせトップ5」を印メディアが選定

いよいよ決勝を残すのみとなった今回のアジアカップ。決勝のカードは、2大会連続でファイナリストとなった開催国カタールと、5回目の本大会出場で初めてアジア制覇に王手をかけたヨルダンという、予想外の組み合わせとなった。

大会前の優勝予想では、日本を筆頭に、韓国、イラン、オーストラリア、サウジアラビアが続いていたが、準決勝までに全てが姿を消すという驚きの結果に。内容的にも強豪と目されたチームが押し込まれたりと、今大会は各国が力を上げ、チーム間の実力差が縮まってきていることを実感させている。

インドのスポーツ専門メディア『KHEL NOW』は、「アジアカップの魅惑的な旅の中で、サッカーファンは運命のいたずらが入り混じった、神経をすり減らすような数々の戦いを目撃したが、歴史のアーカイブにその名を刻むべく、予想や期待に立ち向かいながらスポットライトを当てられたのは、多くの“弱者”だった。トーナメントは驚きのスペクタクルだ」と今大会を総括し、それを象徴するような「最大の番狂わせトップ5」を選定した。

まず5位は、本大会初出場のタジキスタンが準優勝の経験もあるUAEを下した決勝トーナメント・ラウンド・オブ16の一戦で、試合は1-1からのPK戦(5-3)で決着。同メディアは、このニューフェースを「記憶に残る形でデビューを飾った。大会を通して、タジキスタンは確固たる決意と信念を示し、あらゆる技術を駆使し、厳しい相手と戦い続けた」と賛辞を贈っている。

続いて4位は、マレーシアが韓国相手に3-3の引き分けに持ち込んだグループEの最終節。しかも、先制を許すも逆転し、同点で迎えた後半アディショナルタイム(AT)の4分でソン・フンミンに勝ち越しゴールを決められたが、ここで諦めることなく、なんとAT15分に追いつくという劇的な結末に、同メディアは「予測不可能な美しい試合」と試合自体を称賛するとともに、マレーシアを「手強い相手に支配されても希望を決して失わず、持ち味を発揮した」と評した。 3位と2位に登場するのは日本。3位はグループDでのイラク戦の衝撃的な敗北(1-2)で、「スター揃いのラインナップと4回の優勝を誇る日本に対し、イラクはアイメン・フセインらの刺激的なパフォーマンスで、大会で最も記憶に残る番狂わせのひとつを達成。チーム全員がこの素晴らしい勝利に貢献し、サッカー史に刻まれる勝利を収めた」と、内容面でも優勝候補筆頭を圧倒した一戦を最大級に評価している。

2位は準々決勝のイラン戦(1-2)。「イランはその並外れたスキルと戦略的熟練度により、注目すべき勢力として台頭してきた。日本戦は優勝候補同士の対決だったが、それでも日本の敗北はかなり衝撃的だった。イランは熱狂的なサポーターに後押しされ、日本の危険な攻撃や多くの逸機の後、後半ATの決定的なPKで重要な勝利を掴んだ」。

そして1位は、ヨルダンが韓国を下した準決勝で、同メディアは「トーナメントの究極の瞬間はヨルダンのものであり、その英雄的な行為は世界中の観客を魅了した。FIFAランキング87位のチームは、韓国(23位)を相手に決勝進出という歴史を作った。後半は主導権を握った優勝候補に対し、ヨルダンは完全に優位に立って2-0で勝利。これまで、彼らは準々決勝に2度進出したのが最高だった」と、この快挙を激賞した。

このランキングで、ともにアップセットを食らった側として2度も登場してしまった日本と韓国。今大会は本調子を出せないまま、内容面でも下回っての敗北ということで、完全に中東勢の引き立て役に終わった。これでアジアの勢力構図は即変わるというわけではないだろうが、この地区の戦いが簡単なものではないことを改めて思い知らされたことは間違いない。そしてそれは、今後のワールドカップ予選に向けての良い教訓になったことだろう。

そして、2月10日にドーハで行なわれる決勝戦。下馬評では、国際レベルでの経験が豊富であり、強敵イランをも下したことで勢いに乗っている開催国が有利と見られているが、ここまで見る者の予想をことごとく覆してきたヨルダンが、この大会の象徴的存在として偉業を成し遂げるか。非常に興味深い一戦だ。

構成●THE DIGEST編集部

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