エステティックサロン市場に関する調査を実施(2024年)~2023年度のエステティックサロン市場規模は前年度比99.2%の3,139億円の見込、脱毛サロンのナショナルチェーン破産事案つづき施術(レディス)市場への影響拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内エステティックサロン市場を調査し、都道府県別や施術別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年度のエステティックサロン市場規模は、前年度比99.2%の3,139億円(事業者売上高ベース)と、4年連続マイナス推移となる見込みである。
分野別に市場をみると、全体の6割超を占めるレディスの施術(美顔、痩身・ボディ、脱毛、その他の合計)市場は1,984億円(前年度比98.6%)、メンズエステ市場が162億円(同102.5%)、物販市場については993億円(同100.1%)とレディス施術分野が振るわなかった。なお、メンズエステ市場は、脱毛サロン事業を行なう複数社の事業規模把握により、2020年度以降の市場規模を見直した。同市場は2020年度から2022年度までのコロナ禍で二桁増を含むプラス推移をしたと推計する。

2.注目トピック~メンズエステ市場は拡大推移~

2023年度のメンズエステ市場は162億円(前年度比102.5%)の見込みである。
これは、エステサロン市場が全体としては厳しい中で明るい材料である。コロナ禍に伴う生活様式の変化によりオンライン会議等において男性自身が体型や肌の状態を気にする機会が増え、脱毛に加え総合エステサロン分野の美顔や痩身も堅調に推移するとみる。また、美容意識が高くジェンダーレスな考え方を持つ若年層がエステ施術に関心をもち実際に通い始めており、業界では新規顧客として若い世代の取り込みが進行する可能性が高まっている。

3.将来展望

2024年度のエステティックサロン市場規模は、前年度比99.8%の3,133億円と予測する。

エステティックサロン業界に対し、コロナ禍は功罪両方の影響をもたらした。プラスの要素としては、これまで女性以上に限定的であった男性客の獲得の可能性の拡大である。施術分野別でみると、これまでメンズエステの顧客は、美意識が高く経済的余裕のある富裕層で構成されていたが、コロナ禍を契機としたリモートワークによって自身の外見を磨くことに目覚めた中高年齢層や美容男子と言われる若年層がエステサロンを利用するようになっている。脱毛については、医療脱毛の需要が大きい想定であったが、2020年以降のコロナ禍でエステティックサロンにおける美容脱毛も相応に伸びていた。一方で、メンズエステ市場は160億円程度の小さな市場である。今後の同市場拡大に大きな期待をもつ一方で、レディス脱毛サロンで続く多くの撤退事案と同じ轍を踏まぬよう、健全な経営による堅調な成長推移が望ましい。コロナ禍でマイナスの影響を受け市場規模が縮小していた業界にようやく訪れた、前向きなチャンスを確実に捉えていくことが求められる。

© 矢野経済研究所