専業主婦です。夫の扶養に入っていて毎月の給与から年金保険料も引かれています。私の分の年金はいくらもらえるのでしょうか?

国民年金の第3号被保険者とは?

会社員や公務員といった第2号被保険者である夫の扶養に入っている専業主婦は、国民年金の第3号被保険者に該当します。国民年金保険料を自ら納付する必要はなく、原則として65歳から老齢基礎年金の受給が可能です。ただし、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計期間が10年以上なければ老齢基礎年金を受給するための条件を満たさない点に注意してください。

自営業者、農業者、学生および無職など、自分で保険料を納付する人は第1号被保険者となります。

第3号被保険者がもらえる年金額

専業主婦である第3号被保険者がもらえる年金額は、保険料を納付した期間に応じて変動します。令和5年度の年金額は月額6万6250円、年額79万5000円です。例えば、第3号被保険者期間が25歳から60歳までの35年間だった場合にもらえる年金額の計算式は「79万5000円×(420ヶ月÷480ヶ月)」となり、年額69万5620円、月額5万7960円を受け取れることが分かります。

年金の受給開始は原則として65歳から

専業主婦が老齢基礎年金を受け取れるのは、原則として65歳からです。ただし、老後資金が足りない場合は、年金の繰上げ受給で受取開始年齢を60歳~64歳11ヶ月まで前倒しできます。年金に頼らなくても貯金で暮らせるといった場合は、年金の繰下げ受給で66歳以降75歳までに遅らせて受け取るという選択肢もあります。

繰上げ受給をした場合は、1ヶ月繰り上げるごとに0.4%(最大24.0%)の減額率が適用され、繰下げ受給をした場合は、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%(最大84.0%)の増額率が適用されます。一度適用された減額率と増額率は生涯にわたって継続するため、老後資金の状況や健康状態などを考慮して適切な方法を選択してください。

自分の年金額や加入記録を確認する方法

第3号被保険者である専業主婦が自分の年金額を確認したい場合は、以下の方法を活用してみてください。

__●ねんきん定期便
●ねんきんネット
●ねんきんダイヤル
●年金事務所へ照会__

専業主婦である妻に第2号被保険者だった期間があったり、第1号被保険者だったときに未納があったりする場合も受け取れる年金額が変わります。見込額になりますが、これらの方法で受け取れる年金額がどのくらいなのかを知るのに役立ててみてください。

ねんきん定期便

毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」にて、自身の年金に関する記録の確認が可能です。ねんきん定期便の通知内容は図表1のように年齢区分によって異なります。

【図表1】

※日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」より筆者作成

ねんきんネット

ねんきん定期便の通知内容以外に、ねんきんネットから年金額の試算が可能です。ねんきんネットにアクセスして「将来の年金額を試算する」から「かんたん試算」「詳細な条件で試算」の2種類の方法のいずれかで計算してみてください。

なお、「かんたん試算」では「60歳まで現在と同条件で年金制度に加入する」との仮定に基づいて年金見込額を試算します。それに対して「詳細な条件で試算」では、今後の職業や年金の受給開始時の年齢、国民年金保険料の追納といった条件を設定したうえで、年金見込額の試算が可能です。

ねんきんダイヤル

ねんきんダイヤルに電話をかけることで、年金見込額試算およびその計算の基礎となった年金加入記録を確認できます。

電話をかける際には、基礎年金番号が分かるものを用意しておくと確認がスムーズです。

年金事務所へ照会

全国の年金事務所でも、年金見込額試算や年金加入記録の確認が可能です。最寄りの年金事務所へ足を運んで照会手続きを行ってください。

ねんきんネットなら最新の年金額利用を確認できて便利

第2号被保険者である会社員の夫に扶養される専業主婦の妻は、第3号被保険者となり自分で保険料を納付する必要がありません。しかし、老齢厚生年金の受給資格のある夫とは異なり、受け取れるのが老齢基礎年金のみとなるため年金額は少なくなります。

専業主婦である自分の年金額がどのくらいなのか知っておきたい場合、ねんきん定期便やねんきんネットから確認する、または年金事務所に照会を行ってみましょう。

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 国民年金に加入していますが、会社員と結婚しました。引き続き国民年金の保険料を納めるのですか。
日本年金機構 国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか。
日本年金機構 「ねんきんネット」による年金見込額試算

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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